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子供向けMP3プレイヤー その2

新居です。

すっかり間が空いてしまいましたが、子供向けMP3プレイヤーのその2をお送りします。今回は社内のデザイナーである今富さんに助けてもらいました!

以前小さな子供向けMP3プレイヤー製作 その1 - VIVITABLOGようなタイトルでblogを書きました。その時には試作だったのですが、今回は子供に渡せるようなしっかりしたケースに入れてみました。

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注意: これは幼児用に設計していませんし、安全性の評価もおこなっていません。そのため、読んだ方が作った場合には、各自ご注意下さい。

基本方針

前回の試作で問題になったのは以下の3点でした。

  • 電池寿命が短い (乾電池で1日保たない、電源を切り忘れると翌日は電池切れを起こす)
  • スピーカが下に向いていると音が聞こえない
  • スイッチの押す部分が小さすぎ、押しにくい

そこで、電池寿命に関しては以下の2点を改良しました。

  • MP3モジュールの電源制御追加
    • MP3playerが無音時にも10mA以上流れていたので電子スイッチで切れるようにした。
  • LED輝度低減
    • Arduinoのパイロットランプが明るすぎるので、LEDに繋がった抵抗を1kΩから10kΩに変更した。

これで、Arduinoをsleepモードにできれば、消費電流は殆ど0にできるはずです。

後の2点については、ケースを設計してもらうときにデザイナーさんに改良してもらいました。

おもな購入品

今回用いた部品は以下の表の通りです。 blogのその1で紹介したのと殆ど同じですが、Arduinoの種類が異なります。また、基板を中国のSeeed studioで作ってもらいました。10枚セットで500円なので一枚あたり50円となります。

品名 型番 数量 値段 小計
MP3playerモジュール DFplayer MINI互換品 1 280 280
MicroSDカード あきばお〜8Gbyte 1 300 300
Arduino モジュール A-Star328PB Micro 3.3V8MHz 1 650 650
基板 FusionPCBサービス 10 50 500
スピーカ aitendo 40mm8Ω0.5W 1 80 80
スイッチ 6mm角高さ9mmタイプ 5 20 100
LED 3mm砲弾型各色 5 20 100
電解コンデンサ 低背16V100uF 1 20 20
電池ボックス 単4x3本用 1 50 50
部品合計 2080

ケースについて

さて、今回しっかりしたケースを社内のデザイナーの今富さんに作ってもらいました。これまでの問題点をお話しして、「いい感じでお願いします」とお願いし、デザインしてもらいました。私はそのケースに合わせて基板の寸法を設計して、中に組み込みました。そのため基板も自分で設計してみました。

基板作成

今回の基板の回路はこんな感じです。

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基板を作った時の回路図

ミスその1

しかしミスが幾つかありました。一つ目はArduinoの電源のつなぎ方です。VCCに直接電池3本を繋ぎましたが、ノイズでリセットがかかってしまうため、BATに繋ぎなおします。

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Arduinoの電源回路
BATは幸いなことに元のVCCの2つ隣で、パターンも見えました。 そこでパターンをカットし、短い配線を繋ぎ直したのが以下の改修1です。これは簡単な処理です。

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改修1

ミスその2

二つ目は使ったArduinoのVcc電圧がVbat直結の4.5Vから3.3Vになったため、ロジック出力でFETをON/OFFとしていたところが働かなくなりました。回路図中のQ1のFETをOFFにするときのゲート電圧が今まではVbat - Vcc = 4.5V-4.5V=0Vだったのが4.5V-3.3V=1.2V>Vonとなってしまい、常にONになってしまったのです。そこで、以下の回路のように途中にLEDを挟んで電圧を降下させるようにしました。

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LED追加

そこで、パターンをカットしようと思ったのですが全てArduino基板の下で一切手が出せません。そこで、スルーホールの中に別の配線を通して見ました。これはちょっと難易度が高いです。

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改修その2

これはなにをしているかというと、下の詳細図の様に、上の基板にLEDを片足だけ半田付けし、もう一方の足には下の基板からの配線を接続しています。

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改修2詳細図

その結果動くようになったので、ケースに組み込んでみます。

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基板の組み込み

ソフトウェアについて

ソフトについては前回と殆ど同じです。 ただ、前回のソフトを改良して、音楽再生が終わって10秒ぐらいたつと、MP3playerの電源を切るようにしてみました。そのため、消費電流については動作時に24mA程ですが、音楽再生が終わると6.5mA程度に少なくなります。 その後はsleepにすればとても良いのですが、今回はここで力尽きておしまいです。 子供に渡すときにはエネループでも入れて、電池が終わったらすぐに充電することにします。

ユーザーテスト

ここで子供に渡してみました。 しかし、構想から一年たち、既に子供が成長してしまい5曲しか聴けないプレイヤーには興味が無いようです。タブレットでは、好きな映像を自分で選んでますし、他のおもちゃで押すボタンによって異なる反応のある電話機のおもちゃが良いとのことでした。

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既製品にマウントされるMP3プレイヤー

フィードバックとしてはボタンの場所が分かりにくかったようで、5個のボタンがどこに有るのか分かりやすく表示するようにしてみたいです。

まとめ

足かけ1年、なかなか完成できなかったMP3プレイヤーですがケースに入れることで一歩進めることができました。今富さん、ありがとうございました!

が、時間がかかりすぎた関係でユーザーには必要とされてないものになってしまった残念感がありますが、まずはこれにて。