VIVIWARE Cell for とは?!
おもちゃ・電子楽器・ロボット・デジタルアートなどのインタラクティブなアイディアを気軽に試作することができるプロトタイピングツール VIVIWARE Cell の活用事例を紹介するシリーズです。
高知県佐川町で開催されている町おこしのイベント「さかわのぢちちまつり」にて、VIVITA ROBOCON 2019に参加してくれた「さかわ発明ラボ」の子どもたちがVIVIWARE Cellを使って制作した、子牛ロボットによる牧場レースがおこなわれました。
ロボコンマネージャーの小金丸ことScottyが現地でお手伝い!
そのレポートをお届けします。
- さかわのぢちちまつりとは!?
- 佐川町地域おこし協力隊のブース
- まきばのロボットレースとは!?
- いよいよ本番「まきばのロボットレース」!
- さかわ発明ラボからのコメント
- お手伝いを終えて——Scotty所感
- おまけ
さかわのぢちちまつりとは!?
高知県佐川町内にある3軒の酪農家で搾られた生乳だけを使い、「地乳(ぢちち)」を製造している吉本乳業さんが、地元商工会と連携して立ち上げた「さかわの地乳プロジェクト推進会議」が主催の地元牛乳をPRするイベントです。
- 吉本乳業について note.com
第4回目となる2020年のぢちちまつりは、黒岩中学校(佐川町黒岩地区にある休校中の中学校)にて、1月25日(土)に開催されました。
ハンドメイド作家さんによる出店や、町内外の飲食店による出店、ぢちちミルク担々うどんの販売や吉本牛乳の無料試飲、子牛とのふれあい体験コーナー、電気などの動力源を一切使わないぢちちメリーゴーラウンドやおばけ屋敷、子牛ロボットの牧場レースなど、盛りだくさん。
会場が昨年までと異なり、また、当日は雨の心配も重なりましたが、蓋を開けてみると2,000人が集まり大盛況となりました。
佐川町地域おこし協力隊のブース
今回Scottyがお手伝いした地域おこし協力隊は、校舎内の2階にある教室を利用して、4つのブースを運営していました。
①まきばのロボットレース さかわ発明ラボによる「まきばのロボットレース」(VIVIWARE制御による子牛ロボット)
②キコリパーク 自伐型林業に従事するキコリンジャ―による松ぼっくりパターゴルフ&ウッドコースター作り
③ぢちちちゃラテアート体験
観光&さかわ茶プロモーターによるラテアートワークショップ
④ぢちちの家&休憩スペース
休憩室と「ぢちちの家」展示室
まきばのロボットレースとは!?
さかわ発明ラボが開催している「放課後発明クラブ」の子どもたちと「VIVITA ROBOCON FINAL 2019」に参加した子どもたち、ラボのスタッフが協力してできた企画です。
①きかくの部
②うしづくりの部
③うしをうごかす部
3構成のワークショップを経てできあがった成果物が展示され、ブース内で子どもも大人もロボットレースを体験できます。
①きかくの部
「どんなロボットをつくるか?」「どんなルールでどんなコースをつくるか?」などのアイデアを練るべく、イベントの2か月前から、さかわ発明ラボのスタッフと一緒に子どもたちがアイデアソンをおこないました。
- こどもたちからのアイデアをブレスト形式でポストイットで貼る。
- アイディアをグルーピングをおこなう。
「ロボット」「コントローラー」「レースに共通すること」「コース」「レギュレーション」「ルールメイク」「景品」- 出たアイデアをもとに実現していくことを絞っていく。
②うしづくりの部
「きかくの部」で練ったアイデアから構成された「指令書」をもとに、子牛ロボットを制作。
■指令所の中身
「1/25に開催される「ぢちちまつり」の為に、以下のものを制作してください。
・うしロボット
・チーズロボット
・バター牛ロボット
・ねずみロボット
・それぞれに対応するコントローラー
ロボットのベースとなるのは、さかわ発明ラボの浅野さんが学校の特別授業(地元の小学校6年生の授業)で実施している「ロボット動物園」で使用している筐体。動きはVIVITA ROBOCONに出場した鹿ロボットと同じ機構です。
③うしをうごかす部
子牛ロボットを動かす部門。子どもたちのアイデアを具現化するコントローラーづくりのため、動く仕組みをVIVIWARE Cellでプログラムします。
展示のパネルにはプログラム内容が記載されており、なぜどのように動くか説明してあるため、仕組みを理解しやすくなっています。特筆すべきは、通常コントローラーでよく使われるボタンやスライダーを一切使っておらず、6軸と測距センサーのみでコントロールしているところです。
①牛乳パックの牛乳を飲むと、牛が走るコントローラー
牛乳パックの中に内蔵した6軸センサーが反応し、子牛ロボットが走り出します。飲む動作をしたり、振ってみたり・・・。
②子牛が宇宙人にとらわれると、母親牛が助けに走るコントローラー
土台に測距センサーを搭載し、距離を検知すると牛ロボットが走り出します。子牛がヒモでつながっており、上部の宇宙船からヒモをひっぱると親牛が助けに走ってくるというストーリー。
③牛が草を食べると、牛が走るコントローラー
牛の頭を模したコントローラー。頭があごの部分から前後に2分割されていて、頭の上の部分に6軸センサーを搭載しており、動きを検知すると子牛ロボットが走り出します。牛のあごを上下させ、草(えさ)をむしゃむしゃ食べさせます。
④赤い旗をふると、牛が走るコントローラー
赤い旗の先に6軸センサーを搭載させており、動きを検知すると子牛ロボットが走り出します。闘牛のように牛に向けて振ったり、応援のために振ったり。
⑤しっぽを振ったり引っ張ったりすると、牛が走るコントローラー
牛のおしりの部分に6軸センサーを搭載しており、動きを検知すると子牛ロボットが走り出します。しっぽを振り回したり、ひっぱったり。
いよいよ本番「まきばのロボットレース」!
11時・13時・14時に正式レース開催。希望者にはチケットを配り、1レース最大5名が参加。操作するロボットはくじ引きで選ばれます。
メイン会場の体育館から離れた校舎2階での開催だったため、来場者が少ないかもしれないという心配があったものの、年配の方から小学生以下の子どもまで幅広くたくさんの来場があり、みんな興味深々でした。
「どうやってこのロボットは動いているのか」「なんでコントローラーとロボットの線がつながっていないのに、離れている状況で動くのか」「コントローラーをゆらすと動くのはどういう仕組みか」など、たくさんの質問をいただきました。また、「ぜひ、この活動を自分の学校でしてほしい」「さかわ発明ラボに入会したい」などの声がたくさんあがり、このような活動に参加したいという子どもや大人が大勢いたのが印象的でした。
優勝者には、VIVITA ROBOCONに出場した まひろ が製図した鹿の頭のトロフィーが授与され、参加者には全員、参加賞として木の手作りスタンプが贈られました。
さかわ発明ラボからのコメント
「子どもたちと一緒にロボットを使ったイベントを企画したい!」というスタッフの思いから生まれたこの企画。準備期間や当日は過密スケジュールでトラブル続きでしたが、VIVIWARE Cell がなければできないイベントでした。そして、Scottyさんの手厚いサポートのおかげで牛たちも元気に走ることができ、とても感謝しています。ありがとうございました!(浅野)
「レースを体験している人も、観戦している人も楽しいイベントにしたい!」という思いがあり、そのためには牛ロボットだけではなく、コントローラー自体も楽しいものにする必要がありました。「コントローラーらしくないコントローラー」を生み出すためには試行錯誤のしやすさが大切で、子どもも大人も同じ目線で制作できる VIVIWARE Cell はまさにうってつけでした。ROBOCONから始まったVIVISTOPとさかわ発明ラボの活動が今回のように広がって、とてもうれしかったです!(杉本)
お手伝いを終えて——Scotty所感
準備から当日の運営まで佐川町の皆さんが一体となって取り組む姿勢、まきばのロボットレースを作り上げる過程で子どもも大人も一緒に切磋琢磨してアイデア出し~企画~ロボット制作までをおこなっていた様子から、多くのことを学ぶことができました。子どもたちも、主体的に企画に関わることによって、得るものがたくさんあったのではないかと思います。
会場内の展示パネルには、当日までのプロセスや試行錯誤がとても分かりやすく掲載されており、また、VIVIWARE Cellのプログラム作成例を掲示することで、それぞれのアイデアをどのように実現しているのかが分かり、ロボット制作への理解と興味が自然と引き上げられる効果があると感じました。
今後、佐川町で実施した今回の事例のように、各所でVIVIWARE Cellを使用したロボットイベントが生まれることを目指していきたいと思います。
おまけ
子どもたちが制作した、牛のオブジェたち。