VIVITAの壺とは!?
VIVITA管理部のくぼちゃんとコミュニケーターのさかいが、社内のヒト・モノ・コトについてインタビューしまくるコーナーです。VIVITAの魅力をみなさまにお伝えすべく、どこまでも食い下がり核心に迫ります。
- 子どもの世界とつながる仕事
- 手賀沼に茶室をつくる
- みんなの話を聞きたい
- 自律自走を目指す
- すべての原動力はモテ
- 現実と非現実の境界線が曖昧
- 自宅VIVISTOP化
- すき焼き道の極意とは
- 知恵を出すことから始まる関係性
- 編集後記
Profile 小寺 孝明(こてら たかあき)
福岡県福岡市生まれ。小学校から中学までは剣道、高校では空手とキックボクシングで体を鍛える。浪人中にクラシックバレエに目覚め、大学では舞踏を専攻し、演劇と能楽に明け暮れる。大学中退後、木工技術を学ぶが、それを活かすことなくIT系企業へ就職。その後、ゲーム会社、エンタメ外資、科学館、地方起業を経てVIVITA入社。独身。すき焼き道宗家。
子どもの世界とつながる仕事
さかい:
ではまず、どうしてVIVITAに入社したのか聞かせてください。
小寺:
僕は以前、福岡の某企業で負荷の高い仕事をしていたんですけど(笑)、いつも眉間にしわが寄っていたみたいで。子どもを保育園に送っていく途中で「お父さん怒ってる?」って言われたんです。そのときに、自分がいるべき場所はここじゃないのかもしれない、と。
「よし、辞めよう」と決意して求人を調べ始めたら、僕のポジションではなかったけどVIVITAの募集を見つけました。普通にエージェント経由で応募しようとしたらエージェントに断られたので、会社あてに直接メールしたんです。
その頃、子どもと自分の世界が別々になっているのがちょっとイヤだったから、子どもの成長と働くことが繋がっているほうがいいなと考えていました。それで、子どものことに取り組んでいるVIVITAに関わりたいと思ったのがきっかけです。
さかい:
あれ?いい話だった。
くぼた:
なんかちょっと期待してたのと違う。
小寺:
なんで!?(笑)
さかい:
企画の人としては、一番最初の入社だったんですか?
小寺:
当時、プロダクトの企画はすでにいらっしゃったんですが、僕はそのラインじゃなかったんですよね。
くぼた:
VIVISTOPの立ち上げをする人、という感じでしたよね。そして最初はVIVITAの社員じゃなかったんです。
小寺:
そうそう、Mistletoeと契約してたんです。だから最初はみんなが冷たかったんですよ(笑)。
さかい:
そうだったんですね(笑)。
くぼた:
突然、泰蔵さんがVIVISTOPをつくるっていう話を持ってきたんですよね。それまでずっとプロダクト開発に取り組んできて、それを続けていくものだと思っていたから、みんながポカーンとしているところに「で、その場所をつくるのはこの小寺さんっていう人だから」みたいな(笑)。
さかい:
それって、小寺さんが入ってきたから場所をつくろうと思ったのか、それとも場所をつくろうと思っているところに小寺さんがフィットしたのか、どっちですか?
小寺:
後者ですね。面接のとき、初めはプロダクト寄りの企画の話もあったんですが、途中から「実はいま、もっと面白い話があってね」って泰蔵さんが言い出して「じゃあ、そっちいきます」って(笑)。
手賀沼に茶室をつくる
さかい:
では、VIVITAでどんな仕事をしてきたかとなると、まずは場づくりですね。
小寺:
そうですね。それこそ最初の頃はVIVISTOPの運営を考えたり、どんな道具を導入するか考えて場所と環境を整えたり。最近はイベントの企画も増えてきましたけどね。
さかい:
今はイベント企画のほうが多いですか?
小寺:
博多のVIVISTOPを立ち上げてすぐにコロナ禍で現場に行けなくなったこともあって、最近は手賀沼(※)のプロジェクトだとか、企業さんの案件だとか、金沢のVIVISTOP miniだとか、単発イベントが多いですね。
(※柏市、我孫子市、白井市、印西市にまたがる利根川水系の湖沼)
手賀沼では東大や地域の皆さんと一緒に新しい場づくり、社会実験みたいなことに取り組んでます。
さかい:
具体的にどんなことを?
小寺:
もともと、アクアテラス(※)フェスのときに小村さんや桃子さん(VIVITAクルー)に声を掛けてくれた東大の先生がいて。その方は建築系の研究室で、手賀沼の沼部の活用方法について地域と連携しながら社会実験していたんですね。そこにモノづくりっていう要素を入れてみないかという話をいただいたので、僕も参加させてもらいました。
(※VIVISTOP柏の葉の前にある調整池)
はじめは鹿毛くんやヨッシー(VIVITAインターン)たちと「まちづくり」の活動を持ち込んで、子どもたちと一緒に「沼部に何があったらいいか」を考えたりしていたんですが、前回は僕の趣味に振り切って茶室をつくりました。
お盆や竹の器の上に野草を拾ってきて景色をつくる「盆景」というたしなみがあるんですけど、新居さん(VIVITAエンジニア)が和装して、盆景の宗家家元として子どもたちの作品を評価するんです。
さかい:
もしや、その家元は傀儡ですね・・・?
小寺:
そう、操られてるんです。新居さんが「僕は何て言えばいいんですか」って言うので「新居さんは ”うむ” とか “よい” とか言えばいいです」と言ったら、本当にそれしか言わない(笑)。
僕がファシリテーターだったんですが、「いい作品ですね。家元どうですか」って振ると「うむ」って言うだけなんです。それが子どもたちにウケてました。
さかい:
本当に傀儡だった(笑)。
小寺:
茶室の掛け軸は電子ペーパーで作ったんですよ。無駄にテクノロジーを使っています。ちなみに掛け軸のモチーフは、山森くん(VIVITAクルー)ちのフレンチトーストらしいです(笑)。
茶室は僕が設計したんですけど、ユニット形状にしていて全部パタンパタンとくっつければ組み上がるようになっています。当日、小村さんと新居さんと僕の3人で30分くらいで組み立てられました。
くぼた:
すごい!
小寺:
これはもう先方に納品しているんですが、解体しなくていいということだったのでそのままにしてたんです。そしたら付近にお住まいの方々から「あれってどこで手に入るんですか」「誰が作ったんですか」って結構問い合わせがあったらしいですよ。
小寺:
手賀沼は今まで沼部で活動してきたんですけど、次は沼の上を活用しようということになりました。沼に浮くものを作るプロジェクトなんですが、まずは泥舟を作ってみようと思ってます。
泥舟って普通に考えたら沈みますよね。でも泥舟っていう言葉や概念がある以上、何かできるんじゃないかと思って。とりあえず泥舟を使って水辺に出ようと言ったら、みんな乗り気になってくれました。
さかい:
泥舟は楽しみですね〜!ぶんぷく茶釜・・・。
みんなの話を聞きたい
さかい:
小寺さんは最近金沢でも活動してますが、立ち上げも関わっているんですか?
小寺:
絡ませていただいてますね。
柏の葉の立ち上げでは、いい意味だけじゃなくて失敗したなってことも含めて、いろんなことを経験させてもらいました。博多の立ち上げは企業との連携でいろいろと難しいことがありましたし、今回の金沢はまた違ったかたちでの取り組みなので、それはそれでなかなか難しい部分があります。
いずれ自律自走したいですよね、我々としては。そこを目指すには直営だけでなく、企業や行政などと連携した立ち上げに関わりながら、今後どうしたらいいのかなっていうのを考えていきたいと思っています。
さかい:
場所の立ち上げに関しては、小寺さんが一番経験ありますよね。
小寺:
穴山さんと僕はそうですね。海外だとエストニアの立ち上げにも少し参加させてもらいましたが、文化の違いっていうのも非常に難しかったりして。様々なことを学ばせてもらっています。
さかい:
そんな小寺さんが仕事をする上で大事にしていることは何ですか?
小寺:
VIVITAはいろんなバックグラウンドや価値観の人がいるので、なるべくみんなの話を聞くようにしています。
以前の外資系やゲーム会社のときは「これ」って僕が決めちゃえばいいものが多かったんですけど、それだとVIVITAではつまらない。自分の考えももちろんありますが、いろんな可能性や広がりがあるので極力どんな話でも聞くようにしてますし、それが面白いことに繋がればいいなと思っています。
さかい:
分かります。VIVITAは正解がないから、みんなとの化学反応で自分の予想を超えていくほうが断然面白いなって思います。
小寺:
金沢の立ち上げに、寺本くん(ハックフォープレイ代表)が入ってくれているんですが、彼って純粋だし、ある意味天然なところもあったりして(笑)、全く違う角度からいろんなことを言ってくれるんです。
通常だとプランニングはプランニングチームって決まっていて、そのなかで決定を下すようなことが多いけど、VIVITAは誰でも物申せますよね。同じ職種だと、「それってどういう意味ですか」みたいな質問ってあんまりできないじゃないですか(笑)。知っとけよって普通は思うけども、そんなことを気にせずに異なる感覚が出せる場っていうのはいいですよね。
こちらもそういう外からの角度に向けて、説明しないといけなくなる。そうすると僕らも「確かにその視点が抜けてるな」みたいなことに気付かされることが多いし、いろんな立場の人の話をなるべく聞いた方が結果的に面白くなりますね。
さかい:
VIVITAの良いところですよね。
自律自走を目指す
さかい:
これからVIVITAで何をしていきたいですか?
小寺:
VIVITAはいま過渡期ですが、場所やかたちから離れていろんな形態で活動していくのは、すごくいいなと思っているんです。場所ありきでやってるとどうしてもコストがかかっちゃうし、関係性も広がりにくいですよね。
地域社会だったり企業や行政と連携しながら、我々の活動が様々なかたちで広がっていくのは、きっと自律自走にも繋がるんじゃないかと思いますし、僕もそういう方向性で継続的に取り組めたらと思っています。
さかい:
小寺さんは東葛(※)の立ち上げには関わらないんですか?
(※現在VIVISTOP柏の葉から東葛エリア全体に活動のフィールドを広げるべく準備中)
小寺:
今後、先行して取り組んでいるメンバーの話を聞いてみたいと思っています。手賀沼の活動は継続していきたいので、それがおそらく東葛の活動の一環になるんじゃないかと。
さかい:
なるほど。私は流山鉄道で何か仕掛けたいです。
小寺:
いいじゃないですか、妖怪列車走らせましょうよ。みんなで白いメイクして、ちょっと灰色っぽい感じの洋服とか着て。「何でこんな時間に電車走ってるんだろう・・・」ってネットでちょっとした騒ぎになるやつ。
駅名も「きさらぎ(※)」にすればTwitterで拡散されますよ。
(※日本のインターネットコミュニティで都市伝説として語られている架空の鉄道駅)
さかい:
いいですね〜。でもそれ、本当に異次元に連れていかれそう(笑)。
すべての原動力はモテ
さかい:
さて、自分が自分である理由、自分の一番の特徴って何だと思いますか?
小寺:
難しい質問ですね・・・!
僕は基本的にモテたい欲求ドリブンですね。
さかい:
(笑)
小寺:
例えば、仕事で気分が盛り上がらない場合は(以下、自主規制)
でもドリブンだから。一事が万事ではなく、ただの点火剤です。
小学校からずっとそうですからね。
くぼた:
一貫しててすごい。
小寺:
小学生のときにモテたくてモテたくて、どうしたらモテるかって考えて、でも己れがモテないことは自覚していたわけです。
だから超能力か魔法だなと思って、小学3年生くらいから3年間かけてずっと消しゴムを浮かせようとしてました。そのおかげで算数についていけなくなって、今でも算数できないです。そういうこともあって、超能力はやっぱりダメだなと。先天的な何かがないと無理だし、イケメンと一緒で後から頑張っても無理だと思って諦めました。
その時にちょうど『孔雀王』や『帝都大戦』っていう映画や漫画が流行っていて、それが陰陽師なんですよ。陰陽道で法力を持っている坊さんの話だったんです。これは修行すれば何とかなるのかなと思って、陰陽道の本を買って、お経を唱えたり印を結んだりしてました。
小寺:
最終的に陰陽師の能力を得るために必要な修行があって、すごく長いお経を1日に1万回唱えなきゃいけないんだけど、それを1ヶ月やれば最後に観音様が現れるらしいんですね。でも計算すると、そのお経を1万回読むのに24時間くらいかかるんです。メシ食えないし寝れないし、そりゃ1ヶ月やったら幻覚視るよねって。観音様って幻覚じゃね?と思って陰陽師も諦めました。
でもモテたいじゃないですか。もっと現実的なものだと思って、「そうだ、マッドサイエンティストだ」と。己の肉体を工学的に改造してスーパーパワーを身につければモテるんじゃないかと考えたんです。当時ターミネーターやロボコップが流行ってたので。
小寺:
これだ!と思って、中学校の時に FMトランスミッター、通称盗聴器とか(笑)、そういうものを作ったり。あとは剣道やってたんですけど、剣道は右手で握ってはいけないので右手を強く握ると電撃が走るスタンガンみたいな竹刀を作ったり。学校でいろいろやってたわけです。
そうしたら、牛島先生という理科の先生に「こてっちゃん、そんなに詳しいだったら電気の授業やってみて」と言われて。2、3週間分の理科の単元を僕が授業したことがあります。
さかい:
へえ〜!その先生面白いですね、生徒に授業やらせてくれるなんて。
小寺:
面白い先生だったんですよね。こことここだけ押さえておけばいいからって教師用の教科書を貸してくれて、好きにやっていいって言ってくれて。僕は電圧や電波に詳しかったから、実験なんかも自分なりにいろいろ考えて授業しましたよ。結果的にモテなかったんだけど、いい経験でしたね。
ちなみに、小学校から中学校のときのあだ名がずっと「変態」でした。
さかい:
今もですよ。
小寺:
あっそうなんだ(笑)。
さかい:
はい。今もVIVITAイチの変態紳士と認識されています。
さかい:
子ども時代からそのまま大きくなった感じですが、モテを探究してそこまで突き詰めたのはすごいですね。
小寺:
僕は小学生の頃からケーキを焼いていますが、チーズケーキもモテたいが故ですし。いくつか料理もできたんですけど、パエリアなんかを中学生が作っていたんです。
パエリアを作る中学生はモテると思ってる僕のセンスのなさ。今考えれば誰もパエリア食べに来んやろって思うんですけど、当時はモテるんじゃないかって思ってたんですよね・・・。高校に入ったらワインの銘柄やカクテルの名前を覚えたりしてました。
僕、小学校4年生のタイミングでランドセル捨てたんです。小学校入って3年間経って、まだあと3年あるのかと思って。とにかくモテたいから、早く大人になりたいじゃないですか。イタリアンレストランにもいきたいじゃないですか。
こんなん背負ってたら無理だな、と思って近所のゴミ捨て場に捨てて「お母さん、ランドセルなくなった〜」って。それからは手ぶらで学校に行ってました。
さかい:
すごい。ジゴロ(?)みたい。生まれたときから中身がおじさんだったのかな・・・。
ちなみにモテを探求し続けて、効果が出始めたのはいつですか。
小寺:
効果は出なかったんですよね。ウォルト・ディズニー・ジャパンにいたときにモテたんですよ。でもそれ、僕じゃないなっていう。会社の名前でモテてるだけじゃないですか、名刺にミッキーついてるし(笑)。結局分かったのは、己れの中から出るものではないなっていうことでしたね・・・。
さかい:
そんなことないと思いますけど(笑)。
小寺:
だから僕は今も探求中ですよ。ずっと続けている研究が成果を結実したと思ってなくて、まだまだだなと。だからこれから、渋さやダンディーの路線に切り替えていかなきゃいけないと思っています。
さかい:
モテたい欲求は性別に関係なく、モチベーションのひとつですよね。小寺さんの話を聞いていたら、戦線から離脱して牙を抜かれた虎みたいになっている今の自分に気が付きました・・・。
小寺:
野生を無くしたらダメじゃないですか!(笑)
現実と非現実の境界線が曖昧
さかい:
これまでのお話だと小寺さんは自分自身で道を切り開いてきたんだなと思うんですけれど、今の自分に大きな影響を与えてるものって何かありますか?
小寺:
映画とか、すごい影響を及ぼされてますよ。
さかい:
何に一番影響を受けましたか?
小寺:
僕自身、そんなに強い人間じゃなかったので、なるべく異常なものを観ようとしてましたね。外部から狂気を取り込むことによって、万が一自分が狂気に出会った場合の衝撃を緩めるという算段です。
そういう意味でよく観ていたのは、北野武の『その男、凶暴につき』や、スタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』です。こんなことブログに書けないですよね。
さかい:
いや書きますよ。
小寺:
書かないで。
さかい:
『時計じかけのオレンジ』って書いたら、きっと一部の人が「ああ・・・」って思ってくれます。
小寺:
小さい頃は、ロボットやファンタジーを割と信じていたんです。『ニューヨーク東8番街の奇跡』というハンバーガー屋さんに宇宙から小さいロボットが来る映画、知ってますか?ハリウッド映画なんですけど。
小寺:
それが自己生成型のロボットなんです。僕の引き出しの中にはラジオとかラジコンを分解したものがいっぱい入っていたので、次の日起きたらロボットが生まれてるんじゃないかと思って。ワクワクしながら引き出しを開けてみたけど何もなくって・・・。ちょっと涙ぐむ、みたいなおセンチな頃もありましたけどね・・・。
さかい:
かわいいな(笑)。
小寺:
僕は割と、現実と非現実の境界線が曖昧なんです。
さかい:
それは子どもの頃だけじゃなくて、今もですか。
小寺:
今もなんですよ。コナミ時代の同僚に「小寺さんよく今まで警察に捕まったり、精神病院に入れられたりしなかったですね」って言われたことがあります。
さかい:
たしかに、と言いたいところですけど(笑)。
外部から狂気を取り入れるっていうのは、自分に無いものだからだと思うんですよ。おそらく、本人はまとも過ぎるほどまともなんですよね。
小寺:
そうなんです。自分の弱さを補うためにいろんな武装してきたっていうことなんです。
さかい:
狂気に触れたい欲求は何だか分かる気がします。私もシリアルキラーの生い立ちとか遺した言葉とか、つい読んじゃう。
くぼた:
なんでですか!?
さかい:
ごく普通の家庭でごく普通にすくすく育ってきちゃったから、例えば猟奇的な事件を起こした人が狂気や暴力に駆り立てられる根源が分からないんですよ。だからその心の不思議を知りたいんですよね。
小寺:
僕も未解決事件の Wikipedia を深夜に読むのが大好きです。
さかい:
小寺さんが今までの人生の中で、最もやらかしたことって何ですか。
小寺:
こちらサイドで話せることは何もないです。
さかい:
異次元でやらかしてきたんですね・・・。
自宅VIVISTOP化
さかい:
VIVITAは完全にリモートワークになりましたけど、最近はどんなふうに仕事してますか?
小寺:
どんどん機材や材料が増えて、家でなんでも出来るようになってきました。僕なりのVIVISTOPみたいな状態になりつつありますね。ちょっとしたプロトタイプなら我が家で作れます。
さかい:
3DプリンターとCNCとレーザーカッター導入したら完璧ですね。
小寺:
小さめのDIY可能な部屋を借りて、そこをアトリエにしようかなってちょっと本気で考えてます。
さかい:
小寺さん、汎用の旋盤やフライス盤も使えるんじゃないですか?
小寺:
僕は一応、大学中退してから職業訓練校で木工技能を1年間学んで、木工技能士っていう資格を取ったんです。木工用の機械工作の運用やメンテナンスを含む資格なので、業務用のマシンもある程度使えますね。
さかい:
すごいなあ。
小寺:
だから、子どもが何か欲しいって言ったら、さくっとラジコンみたいなものを作ったりしています。電子系が多いです。
すき焼き道の極意とは
さかい:
さて、個人的な野望はありますか?
小寺:
すき焼きオペラです。
さかい:
うん?
小寺:
いま金沢で、みんなでいろんなハンバーガーを作る「バーガー選手権」という企画をやっていて、僕はすき焼きバーガーを作っているんです。すき焼きバーガーってありがちで、すき焼きの味をつければいいっていう感じがしますよね。
さかい:
たしかにそうですね。
小寺:
いや、そうじゃないと。すき焼きには流れがあるから、その流れをバーガーとして構造化するっていうことを考えて作ったんです。食べ進めると、すき焼きの流れに沿う、そういうものを考えて作っています。
小寺:
だから僕がやりたいのは、すき焼きオペラです。
さかい:
それは一体どういう事でしょうか。
小寺:
僕、実は「すき焼き道」の宗家家元なんです。
オペラホールで僕がステージの真ん中に立ち、その前に鍋があり、後ろのプロジェクターに鍋の様子が投影されていて、僕がひとつひとつの具材を鍋に入れていくことによって、その「じゅーっ」ていう音がオペラになるんです。
さかい:
伴奏はオーケストラですか?
小寺:
オーケストラはいないです。僕のお弟子さんたちがズラッと並んで、僕の動きと完全にシンクロしてネギを焼いたりするんです。すき焼き道は、すき焼きを作る動きを譜面化して、その譜面に基づいてみんなすき焼きを作るんです。ですのでオーケストラはなく、「じゅー」とか「じゅわー」とか、すき焼きの音だけです。
さかい:
それをサントリーホールとかで演るんですね。
小寺:
そうそう。初台とかで(笑)。
さかい:
すき焼き道の極意を教えてもらってもいいですか。
小寺:
それはやっぱり、入門していただかないと言えないですね。ぜひ入門してください。
さかい:
現在、お弟子さんは何人くらいいるんでしょうか。
小寺:
今は僕だけです。
さかい:
(笑)
すき焼き道は、すき焼きそのものを極める道なんですか?
小寺:
すき焼きを文化として昇華するものです。すき焼きの作法や、すき焼きを作るという行為を通じて、日本のおもてなしや文化をより多くの人に知ってもらうというものです。
さかい:
あれ、なんかまともな話だった。
私は今、村上隆の芸術を理解したときと同じ感覚に襲われていますよ。
小寺:
そりゃそうですよ。僕は基本まともですよ。まともな事をやってます。
だから今はすき焼き道か、少子化のことしか頭にないです。
知恵を出すことから始まる関係性
さかい:
小寺さんがVIVITAで働き続ける理由は何ですか?
小寺:
自分も成長できるし、いろんなことが試せるっていうところですかね。こんなことってあり得ないことなので。
普通はやっぱり銭勘定が先行するし、そうするとその予算の範囲に制限された活動になっちゃうけど、VIVITAってお互いの知恵を出すところから始まるから。
例えば外部の企業や地域の人たちと一緒に何かやるときもそうですが、予算ありきじゃなくて知恵ありきでやれる、いろんなアイディアを試せるっていうのが特別な環境だなって思います。
さかい:
本当にそうですね。
では、そんな小寺さんにとってVIVITAとは何か、一言で表していただけますか。
小寺:
VIVITAって、多種多様な人がいますよね。会社や同僚っていうよりは、何だか江戸時代の、思いを同じくしている人たちが集まる松下村塾みたいな私塾だとか、そんな感じなんですよね。
くぼた:
サロンみたいな。
小寺:
なのかなあ。普通の会社だったら、その会社にいる間だけの関係という感じがするけど、VIVITAの場合、ここで繋がった関係はこれからも続くような気がするし、たとえば僕が会社を興すとした場合に、相談したり一緒に仕事をしたいって思う人がいっぱいいるんですよね。
そういう感じって何ですかね。かつて「座」というものがあったんですけど、それかな?
さかい:
「座」とは、一つの目的で集まっている場所。平安時代から戦国時代まで存在した、主に商工業や芸能者による同業者組合のこと。ですって。
良いんじゃないですか?
小寺:
そういうゆるい繋がりで、みんな自立してる、みたいな。
くぼた:
そうですね。ゆるい繋がりっていうのがいいですよね。
小寺:
僕にとってのVIVITAは「座」ということで。
さかい:
とても素敵です。ありがとうございました!
小寺:
ブログに書けない内容は、モザイクとか伏字とか比喩表現とか、そういうものでうまくぼかしてくださいね・・・。
さかい:
はい。おそらく半分くらいお蔵入りです(笑)。
編集後記
このインタビューは小寺さんのほんの一部です。編集するときに泣く泣くカットした部分がたくさんあるのはもちろんのこと、小1時間程度のインタビューで小寺さんの半生を語り尽くせるとは思えない。小寺さんの魅力を余すところなく伝えようとするのは難しい作業でしたし、記事の内容はファンタジー(創作)にしてもらっても構わないとご本人から仰せつかっていましたが、ギリギリを攻めました。内角をえぐり込むように打つべし!打つべし!だって、こんな大人がいたっていいじゃない・・・。これからもずっと、小寺さんと一緒にトンデモナイことを考えていきたいものです。(さかい)
VIVITAきっての変人小寺さん、社内でもこの方のインタビューを楽しみにしてた人は多いのではないでしょうか。思った通り、本当にクレイジーな内容でした(笑)。ただ、あらためてちゃんとお話を聞いてみると、小寺さんが個人でやりたいと思うプロジェクトはどれも至極真っ当で筋が通っていて、強い意志があり心動かされるものばかりでした。それに加えて知識や技術が備わっている小寺さんは、実際に思いをかたちにできています。結局、インタビューの後半は「弟子入りしたい」と思うくらい尊敬の念が湧いてしまいました。ということで、これからの時代、小寺さんのような人がたくさん輩出されていけばいいなと思ったのですが、いや、そんな訳ないですね。(くぼた)
■VIVITAで小寺さんと一緒に働いてみてもいいかな?と思った方はこちらをクリック! recruit.jobcan.jp (編集・境 理恵 × 窪田 有希 /デザイン・mix)