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VIVIWARE株式会社、始動します!

こんにちは、いつもハードウェアの記事を書いている嶋田です。

唐突ですが、先月4月末をもってツール開発をしているVIVIWAREプロジェクトがVIVITAから分社し、VIVIWARE株式会社として独立、始動しました。 VIVIWARE株式会社は、私こと嶋田翔三郎と、VIVITAのファウンダーである孫泰蔵がともに代表を務めます。

今回は、分社化という一つの節目を迎えたということで改めてVIVIWAREのこれまでを振り返りたいと思います。
(自分は元々ハードウェアエンジニアなのでハードウェア目線の振り返り多めです)

VIVIWARE 黎明期(2016 ~ 2018)

2016年4月におこなわれた全社ミーティングでの

「これからAIやロボットの時代なのだから、今の子どもたちがそういうものを理解し、扱える世界でなければならない」

「そのためのロボットパーツを作ろうよ」

というVIVITAファウンダー孫からの提案が、VIVIWARE*1の始まりでした。



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(その時の説明資料抜粋、もう2020が過去に...)

その際、このロボットパーツ検討のリードに私が指名されたので、まずは興味がありそうなメンバーを集めてブレストを開始しました。 ロボットパーツといっても既に似たような製品はありましたので、最初はAIの要素を取り入れた機械学習のビジュアライゼーション(その情報収集のためのセンサー類を作るというのはどうか?)など、敢えて全然違う方向のことを試作してみたりもしました。




紆余曲折がありましたが、元のロボットパーツ構想に戻り「あらゆる機能を分割しモジュール化しよう」というコンセプトになりました。 機能というのは、無線機能や電源機能なども含みます。 振り返ってみれば、"UX"からではなく"機能"から始めていることは実にエンジニア的発想だなと思います。 (これ以降、このロボットパーツのことを現製品名であるVIVIWARE Cellと呼びます)



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(ここまで機能を分割している製品はなかった)

電源と無線部分だけを基板におこして作り、残りのセンサー類は特定の何かをピックアップして試作するのは試作費用がもったいないと思い、必要に応じてArduino、3Dプリンターを利用して半手作りです。



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(プロト1号機)



このプロト1号機を使って実際にVIVITA Roboconを開催したりと、それなりに数量が必要になり自作の工数がかかるようになってしまったので、組み立てだけ自分たちでおこなえるように、よく使いそうなセンサー類を決めて基板をすべておこしました。

また、初期には検討用として色々試せるように仕込みを入れていたため、サイズが大きくなってしまっていましたが、不必要な機能を削除しサイズを最適化させました。



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(プロト2号機)

この頃からは、このVIVIWAREの価値というものを深く考えるようになりました。既存の他社製品も、我々と同じように「プログラミングやエンジニアリングの知識がないユーザーが使いやすいもの」というのは当然あると思います。実際に素晴らしい完成度の製品がいくつもあります。

しかし完成されているが故にそれ自身には手の加えようがありません。一方、VIVITA(VIVIWARE社もそうですが)は子どもたちに「世界は変えられる」という実感をもってほしい、という思想を持っています。



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私が自分の手でプロト1号機を手作りしたように、ユーザー自身がただ製品世界の上で遊ぶだけではなく 「製品そのものに手を加えられるようなものでありたい」「ユーザー自身に製品を育てて欲しい」 ということを考えて続けてきたので、そうした特性も今のVIVIWARE Cellには含まれています。



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(元々用意していないサーボを複数動かすCellを自作し、作品作りをした例)

VIVIWARE 過渡期(2019 ~ 2020)

ここまででプロジェクト発足から3年。さすがにそろそろ製品化したいなと思い、一年かけて量産開発スタートまでの準備を始めました。 この頃からエンジニアというよりはプロジェクトマネージャーという立ち位置で仕事をするようになりました。

まずは2019年の前半で必要なメンバーを採用し、後半で量産化のための下準備をしました。 量産化の準備として一番大事なEMS*2選びがあったのですが、この年はまだ新型コロナウイルス流行前だったので海外にある工場視察も可能でした。



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(到着したらまずは深圳版Suicaの深圳通を購入) f:id:shozaburo:20210518140806j:plain
(コロナ禍前に行けてよかった...)

そして2020年はついに、EMSとプロジェクトをキックオフして量産開発に入ります。 しかし、コロナ禍によって工場にも行けない、それどころか会社も出社を控えなければならない状況でハードウェアの量産開発というのは誰しもが初めての経験です。 皆の努力によって、なんとか形にすることができました。



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(初めてスケジュールを引いたり)

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(EMCなど法規制、認証で苦労した)

そして分社へ (2021 ~ )

そして今年4月、会社の登記も無事に終わり、VIVIWARE株式会社として始動しました。 もうすぐ製品の出荷となります。



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(プロモーション用の写真も自分たちで撮影)

私がVIVITAに入社してから約6年、VIVIWAREプロジェクトが発足してから約5年と、スピード感が必要と言われるスタートアップとしては異例、もっというと大企業よりも遅いような開発ペースかもしれません。

自分の中でも色々な葛藤がありましたが、元々新卒の頃から変わらず思っている「世の中にインパクトを与えるような製品づくりがしたい」という気持ちひとつでここまで来ました。5年かかってもまだスタートでしかなく、この努力が報われるかどうかもこれから次第です。

ということで、これからは同じような思いと情熱を持った方々と一緒に、さらなる活動の拡大という次のステージへ進みたいと思っています。 こういったモノづくり系製品に興味のある事業者様(子ども向け、大人向け問わず)、VIVIWAREの一員としてVIVIWARE Cellの開発や普及に興味のある皆さま、ご連絡お待ちしております!!!

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*1:HardwareでもSoftwareでもない新しいもの、という意味から

*2:Electronics Manufacturing Serviceの略