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トチオンガーセブンと夢のコラボ!変身ワークショップ@長岡 レポート その3(舞台裏編)

こんにちは、VIVIWAREのソフトウェアエンジニアのかっしーです。

先日新潟県長岡市で開催した変身ワークショップは、トチオンガーセブンと子どもたち、それに関係者の皆様のおかげで大盛況で閉幕することができました。本記事では、変身ワークショップの本番に至るまでの企画準備・舞台裏について記しました。変身ワークショップの強烈なネタバレを含むため、下記記事と動画を先に読まれることを強くおすすめいたします。

本レポート記事は3部構成です。
レポートその1:https://blog.vivita.io/entry/2022/01/20/083954
レポートその2:https://blog.vivita.io/entry/2022/02/22/132616
レポートその3:本記事

動画はこちら

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トチオンガーセブンとは

この記事をここまで読み進めてくださった方には釈迦に説法かもしれませんが、念の為再度ご紹介させていただきます。

トチオンガーセブンとは、蛇王一族 (じゃおういちぞく) 首領ゲドロンの邪悪な野望を打ち砕くために 神の狐 [ 天狐・栃尾之牙(とちおんがー ) ]と宿命の栃尾人 [ 星狐太郎(こたろう) ] とが融合した姿である。友達愛・家族愛・郷土愛、この炎のたからものを守るため、人社会と獣社会の狭間で苦悩しながらも生きる証を見出し、己の命を懸けて斗う(たたかう)愛と正義の戦士なのだ!(公式HPより抜粋)

トチオンガーセブンは、長岡市栃尾で油揚げ屋さんを営む星さんが自主企画・制作されている特撮ヒーローで、新潟の舞台やイベントだけでなく、TVシリーズ、劇場版と映像作品でも活躍を拝むことができます。

昭和特撮を愛する星さんが溢れんばかりの情熱を注ぎ込んで作られたこれらの映像は、一ご当地ヒーローの枠を超越しており、最近の地上波特撮では見れなくなった外連味・凄味を感じることができます。2021年12月にはTVシリーズ2期が地上波で放映され、特に2期はアイドルグループNGT48のメンバーが参加したことで、昭和テイストの作風を残しながらも令和の新しい風が取り込まれました。10年以上毎週ニチアサを欠かさず見ている僕たちから見てもなお、新鮮でワクワクする映像作品になっています。

個人的には、2期後半にでてくる怪人が造形・設定・活躍ともにとても大好きです。トチオンガーセブンについて語りだすと本稿の主旨を逸脱してしまうのでこの辺りで一旦筆を休めますが、語り合いたい方は是非僕(かっしー)にご連絡をください。

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企画のはじまり

本ワークショップの構想の始まりは、2019年夏、VIVITAロボコン長岡大会の後にVIVIWAREの以後の活用について長岡市役所の方々と話していた時です。市役所勤務の高橋さん、川上さんから「長岡に名物のご当地ヒーローがいるんだけど、一緒に何かしてみないか?」とトチオンガーセブンをご紹介いただきました。

無知なことにそれまでトチオンガーセブンを知らなかった僕たちでしたが、Webで少し拝見しただけでも、その存在から明らかにただものではない凄味を感じました。是非ともご一緒したいと思った我々は、トチオンガーセブンを徹底的に勉強することに努めました。

企画メンバーで勉強会(DVD鑑賞会)

トチオンガーセブンの魅力

トチオンガーセブンの映像作品やイベントのYoutubeをたくさん見ましたが、どの姿からも本当に星さんの情熱とバイブレーションが伝わってきます。

個人的に印象に残ったセリフは、とある舞台で星さんが観客の皆様に投げかけた「皆さん、夢は必ず叶いますからね!」という言葉。40歳を超えてからヒーローを志し、ついにその夢を叶えた星さんが言うと説得力が違います。

この言葉は、今も僕の心の支えとなって生きる力を与えてくれます。僕はヒーローのあるべき姿とは「皆に元気を湧き起こさせる姿」だと考えますが、その意味でも星さんはまさしく本物のヒーローです。

2020年1月、毘沙門堂を訪問し、星さんとも初めて直接お会いすることができました。長身にスラッとした体型、低くよく通る声は、紛うことなき映像作品でみたあの星さんです。僕は興奮を抑えることができません。お話をしてみると、特撮に関して一家言あり非常にアツく語ってくださるだけでなく、ヒーローとして子どもたちに伝えたいメッセージを明確にお持ちです。

また、トチオンガーセブンの世界の設定・造形・音楽・演出等の基礎はすべて星さんが単独で手作りされており、VIVITAが目指す起業家精神の体現者でもあります。特ヲタとしての僕個人の思いだけでなく、弊社全体として協業させていただくにふさわしいお方であることが確信できました。

激震コロナ禍、襲いかかる絶望

2020年3月の実施を目指して準備してきた我々でしたが、世界中を震撼させたあの驚異が我々にも例外なく牙を向きます・・・。新型コロナウイルスです。

感染拡大の時期がイベントに直撃し、開催中止に追い込まれてしまいました。もはやただの一イベントを超え、生きる希望にまでなっていたこのイベントの中止により、僕は失意のドン底に叩き落されてしまいます。

試行錯誤していた(構想で終わった)オンライン企画

世の中のイベントやミーティングがオンラインに移行していく中、僕もなんとか変身ワークショップを実現したい一心でオンライン化の道を模索したりしていましたが、なかなか100%の熱量を載せた企画として固めることができませんでした。

長岡市役所の川上さんからも「無理にオンライン化をするより、また集まれる日が来るまで我慢して最高のイベントにしましょう」という、前向きな意味での我慢のご提案をいただきました。結果、2021年12月に無事オフラインでの開催を迎えることになります。その間にVIVIWARE Cellは試作版(PT2)から製品版(FP1)に置き換わるほどの長い待機期間でした。僕はずっとトチオンガーと共演できる日を夢見て、Cellの開発に専念していました。

技術面概要

コロナ延期の間、我々は何もせず待機するわけにはいきません。延期するからには企画をより練り上げ、パワーアップした体験を子どもたちに提供しなくてはトチオンガーセブンや長岡市の方々に顔向けができません。

本節では、僕の情熱を注ぎ込んだ変身WSの裏側を支える技術面と、VIVIWARE Cellの機能のご紹介をします。

マウンター

変身ワークショップにとって、最も重要といっても過言ではない要素です。VIVIWARE Cellはすべて「工」の字型の足パーツがついており、専用のマウンターにスライドで固定することができます。ロボットへのCellの搭載にも使われるこのマウンターですが、装着時のシャキッとした感触が極めて心地よく、写真のようにベルトにマウンターをつけようものならば、平成仮面ライダーがコレクションアイテムをベルトに装填する時のような高揚感を味わうことができます。

マウンターはこちらから購入できます。
https://market.vivita.club/collections/all/products/viviware-cell-mounter

さらにCellの下部と同形状のフットパーツをVIVIWAREメカエンジニアの今井さんに設計してもらい、今後はCell以外のパーツもマウンターに装着できるようになります(販売はこれからです)。

Custom Cell

VIVIWARE Cellの特徴の一つは、その拡張性の高さにあります。製品版のBranchは11種類ですが、BranchのCPUは電子工作でよく知られるArduinoで使われるものの上位互換品(ATMEGA 328PB)であり、VIVIWARE CellのBranchとして振る舞うことのできるArduino互換基板が用意されています(販売はこれからです)。

今回はこれを用いて、標準にはないLED Stripとリードスイッチを備えたオリジナルBranchを制作しました。さらに、VIVITAのプランナー穴山さん・もっちさんによって、きつね色の布をまとったトチオンガーリスペクトのキーアイテム「あぶらあげCell」が完成しました。油揚げを装着して変身する、トチオンガーセブンのファンなら垂涎もののアイテムです。

Legacy Branch

VIVIWARE CellのボタンBranchはゲーム機のような4ボタン型ですが、試作版(PT2)の当時は3ボタン型でした。この3ボタンは製品版では廃止になってしまったのですが、大きさと押し心地がとてもよかったため、変身アイテムとしてボタンを扱う本ワークショップでは3ボタンの方を使いたいと強く思っていました。

またまたメカエンジニアの今井さんらに依頼し、「3ボタンを製品版のCustom Cellとして復刻する」ということを実現してもらいました。外装だけでなく、内蔵するファームウェアも新規に作らねばならなかったため、ハードウェアエンジニアの安藤さんがこのためだけに専用のファームウェアを書いてくれました。パワーアップアイテムを開発するハカセ的ポジションになっていただいたと言っても過言ではないでしょう。

OSCコマンド送信機能と暗黒の秘石

VIVIWARE Cellはネットワーク連携機能として、OSCコマンド送受信が可能です。これにより、例えば外部機器との組み合わせで「Branchのボタンを押したら音響機器からサウンド発動」などの効果付けをおこなうことができます。後述の透明スクリーンと合わせ、変身ワークショップでは絶大な効果を発揮します。

本イベントでは、蛇王一族の各位に暗黒の秘石と称する黒いVIVIWARE Cellを装備してもらい、これで舞台演出を発動していました。ちなみにこの極上の漆黒感は、またまたメカエンジニアの今井さんに塗装で実現してもらいました。この素晴らしい質感、見ているだけでうっとりします。VIVIWARE Cellのカラバリを作りたいという個人的な野望が生まれたのは内緒です。

透明スクリーン

変身ワークショップの後半、寸劇パートの楽しさを演出する仕掛けです。半透明のスクリーンにプロジェクターで映像を写すと「映像の暗い部分はスクリーンの向こうが透けて見える」「映像の明るい部分は映像のほうが見える」という状態を作り出すことができます。これにより、例えば「真っ暗な画面の真ん中に炎の映像」を写すと炎の部分だけがスクリーンの向こうに重畳表示されて見えるようになります。

変身ワークショップでは、この仕組みとVIVIWARE Cellを組み合わせて攻撃演出を作っています。武器アイテムにVIVIWARE Cell Motionを仕込み、加速度から腕の振りを検知するとOSCコマンドを送信し、それを受信したPCから炎や稲妻のエフェクトがスクリーンに映し出され、スクリーン向こう側の怪人への攻撃エフェクトになるという仕組みです。

PC側の映像生成にはUnityを用いています。また、怪人が身に付ける暗黒の秘石のボタンからは「暗黒の魔法発動エフェクト」「爆発(断末魔)エフェクト」「武器破壊エフェクト」などが発動します。

これで「子どもが怪人を自らの手で撃退する」という体験を作り出しています。もちろん怪人側には、タイミングよくダメージ表現するなどの相応の演技力が求められます。なお、全くの余談ですが、僕はこのやられ役の表現が誰よりもうまくできる自信があります。僕には悪の素養があるようです(笑)

HTTP RestでPhilips Hueと連携

VIVIWARE Cellには、HTTP Rest Clientモジュールがあります。これでHTTPのGET、PUT、POSTメソッドを生成することができます。これによりPhilips Hueに対してコマンドを投げ、照明のコントロールとVIVIWAREを連動させることができます。

本ワークショップでは、これにより「ゲドロン出現時のエフェクト」を生成しました。今回ゲドロンが姿出しできないことになっていたため、この演出と声だけでゲドロンの存在感を出さねばなりません。

検証のため、僕は自宅で夜な夜なゲドロンになりきって動画を撮影し、色や光の具合を確かめていました。傍から見たら実に怪しい光景だったかもしれませんが、心に闇を抱えた僕にしかできない仕事なのだと、むしろ大変誇らしい気持ちで製作・検証を進めていました。

技術総括

上記の他にも、BGMの再生アプリを作ったり、参加者の変身サウンドの会場スピーカー接続スイッチャーを作ったりしていました。準備期間はとにかく盛り込みたいことが次々と湧き上がってきます。

イベント2週間前あたりでふっと構成図を書いてみたら上の図のようになっていました。図を書いたことで「要素いれすぎてヤバいか...」とほんの僅かに冷静になったのを覚えています。当時の自分は、俯瞰的な視点でやるべきことの取捨選択の判断が全くできなくなってしまっており(あと本番が近づくにつれてプレッシャーに潰されそうになっており)、企画のもっちさんに逐一相談することでなんとか着地点を見失わずに済んでいる状態でした・・・。

熱くなりすぎてすっかり周りが見えなくなっている僕

寸劇の準備

脚本

変身ワークショップの特徴の一つは、後半の寸劇パートです。ワークショップ後に、怪人が(参加者にも内緒で)突如登場するのは、個人的にはとても好きな仕掛けです。

脚本を書くにあたって、トチオンガーの世界観を崩さないことを絶対条件として自らに課していました。よって、特に星さんのセリフは「トチオンガーセブンはこんな事言うだろうか」とDVDを何度も何度も確認し、入念に自問自答を重ねながら書くようにしていました。セリフがなかなかしっくり来ずに、言葉選びに頭を悩ませて1日潰したりもしていました。逆に、悪役陣のセリフはまるで筆が踊るように言葉がスラスラと紡ぎ出せるのだから不思議です。やはり僕には悪の素養があるようです(笑)。

また、トチオンガーセブンのオープニングテーマには「秋葉の勇者が俺ならば」という一節があります。秋葉とは秋葉権現のことで、東京の秋葉原にも祀られている神様です。我々東京のエンジニアも普段から秋葉原にお世話になっているのでご縁を感じ、これを設定の土台としました。トチオンガーを楽しむと地元の歴史や名所についての知識も身につくようになっていて、星さんの謳う「地元愛」の精神が随所に現れているのだと感服しました。

リハーサル

イベント前日はリハーサルです。寸劇にセリフで参加する演者の方に加え、裏方も照明、BGM、子どもの誘導などやること盛りだくさんです。殺陣師の山上さんに殺陣付けまでしてもらえて大興奮でした。会場のNaDeC Baseさんが、このイベント向けにパーティションやプロジェクターを大規模に設置・調整してくださいました。長岡市の方々も含め、たくさんの方の熱意によってこのイベントが作り上げられている嬉しさを勝手に感じていました。

終わりに

一日のイベントに、これほどの時間と情熱をかけられたのは初めてです。僕たちにとって心の底から楽しいイベントになりましたし、参加の子どもたちにもモノづくりで自己表現する楽しさを味わってもらえたと思います。

関係各位、長岡市のみなさま、それにトチオンガーセブン、楽しい時間と生きる希望をありがとうございました。