こんにちは、VIVITAのソフトウェアエンジニアのかっしーです。
今回はVIVISTOP柏の葉で行われた「トイデザインプロジェクト」の報告をさせていただきます。
トイデザインワークショップ
プロジェクトの始まりは2018年11月に開催したワークショップです。(以下、ワークショップをWSと略して表記させていただきます)これは武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科のトイデザインの授業とVIVITAで共同企画したもので、デザインを学んでいる学生とVIVITAの子どもたちが一緒に未来のおもちゃのアイデアを考え、弊社で開発中のVIVIPARTSを使ってアイデアを簡単にプロトタイプで試しながらビジュアライズしていこうという内容です。
そもそもVIVIPARTSとは?
VIVIPARTSとはハードとソフトを組み合わせ、アイデアを容易に実現するプロトタイピングツールです。
VIVITAでは子ども達でも簡単にプログラミングが出来るようなツールとして、これらを開発しています。VIVIPARTSやVIVIPROGRAMMERについては、以下の記事でも詳しく紹介されていますので興味のある方はぜひご覧ください。
ワークショップ前日
ワークショップの当日の前に武蔵野美術大学の教室で美大生にVIVIPARTSをつかったものづくりの体験をしてもらいました。短い時間で限られた材料・工具しかない状況でしたが、美大生ならではの独創的な発想とカタチに仕上げるスキルの高さに感動したことを覚えています。
ワークショップ当日
WS当日は美大生と子供が1対1でチームを組んでもらい、おもちゃのアイデアを考えてもらいました。子供の自由な発想力と美大生のビジュアライズ能力の相性の良さもあり、楽しいアイデアが続々と生まれました。
自戒のため反省点を記したいのですが、最初にVIVIPARTSを与えてしまうと、子どもたちが「このツールでできることの確認」に多大な時間を割いてしまう、そしてこのツールでできることにアイデアを狭めてしまう傾向があるようでした。会社で考える商品企画などとは違い、このような場ではあらゆる制限を排除して思考してもらうほうが良いアイデアが生まれるように思います。その意味ではワークショップという時間の限られた場でのVIVIPARTSの提供の方法も再検討する必要がありそうです。
トイデザイン実現プロジェクト
プロジェクト発足
上記WSではたくさんの楽しいアイデアが生まれましたが、我々はこれをアイデアだけで終わらせるのはもったいない、是非とも実現させて欲しいと思い、「時間をかけてアイデアをカタチにしたい子供」を募集しました。(その過程で開発中のVIVIPARTSを使ってもらい、機能検証やフィードバックを得る機会としたい、という思いもあります)
たくさんの子供がそれに賛同してくれ、アイデアを実現するプロジェクトが始まりました。当然一人ひとりが全く違うおもちゃのアイデアを考えてくれているため、マニュアルはありません。実際にどのような仕様にするか、どんな技術を使うか、弊社エンジニアとデザイナーを交えてじっくりと話し合う場をまず設けました。
子どもたちの進捗の管理にはScrapboxを使いました。一応社外からもアクセス可能な状態にしてあったのですが、もっぱらクルー間での進捗の共有のツールとなってしまいました。もう少し子どもたちが自身の進捗やマイルストーンを確認・管理する場として機能するような形でツールを使えたら良かったと思います。このあたりも反省点ですね。
製作
トイデザインの製作作業は我々にとっても未知の世界です。オシャレな素材を買いに行ったり、効果音としてコーラスの録音をしたり、可愛いぬいぐるみを縫い上げたり、張り子でカタチを作ったり、キラキラ光る部品を取り付けたりと、VIVITA ROBOCONのときのロボット製作では無かった作業のオンパレードです。一人ひとりがおもちゃ製作のさまざまな過程を通してものづくりの楽しさを存分に味わえたのではないかと思います。
新技術
多様なアイデアを実現するために、VIVIPARTS及びVIVIPROGRAMMERも従前の機能だけでは要求を満たすことができなくなっていました。そこで以前から開発をしていた新機能をこのプロジェクトでの活用するべくリリースを急ぎました。
カスタムハードモジュール(Branch)
既成品のVIVIPARTSに無い機能を追加するための新しい部品です。Arduino互換のボードとなっており、市販の電子部品を接続してArduino IDEでプログラムを記述することができます。そして最大の特徴はVIVIPARTS COREとUSBで接続することでVIVIPROGRAMMERから機能を認識しインターフェースを設置できることです。Arduinoを使った通常の電子工作が即座に無線通信機能を持つようになります。
カスタムソフトモジュール
既成品のVIVIPROGRAMMER内モジュールでは実現できないプログラムを組むための新機能です。Scratchライクなブロック接続でブロックのインターフェースと挙動を定義することができます。これにより「サーボを定期的に振り続ける」「テキスト出力のルーチンを回す」などの既存モジュールでは実装の困難だった機能を実現することができます。内部では以下の記事で紹介した技術が使われています。
Google Blockly ファーストステップ - VIVITABLOG
【唐突の採用情報】
どちらも強力な機能ですが、欠点もあります。 それは現段階では子供が独力で使える状態になっていないという点です。今回はリリースしたてということもあり、エンジニアがほぼつきっきりでサポートして活用にこぎつけた感があります。もちろんこのままで良いということはなく、今後子どもたちがより使いやすくなるようにブラッシュアップしていく必要がありますが、それでも弊社の特徴である(?)VIVISTOPでの早期リリース&フィードバックを回していくためにはエンジニアが現場に出ることが必要なケースも出てきます。
弊社では子どもたちにエンジニアスキルを提供し、開発中の新機能を活用・展開していく役割を担うエバンジェリストを募集しています。 ご興味のある方は是非以下のページをご参照ください。
VIVIWARE エバンジェリスト(指定なし)の採用情報 | VIVITA株式会社
プロジェクト成果発表会「VIVISHOW」
2019年3月30日にプロジェクトの発表会「VIVISHOW」を開催しました。子どもたちの作品を展示して一般の方に触っていただいたり、作品の説明をプレゼンして大学の先生方に講評をいただきました。中には先生から「すぐに商品化して欲しい」と言われる作品もあったりと、ワクワクな未来を予感させるプロジェクトになったと思います。
終わりに
子どもたちの自由な発想から生まれる製作活動をサポートするツールとして弊社では上記のVIVIPARTSの開発を進めています。弊社では開発に携わっていただけるハードウェアエンジニア・ファームウェアエンジニアも募集していますので、興味を持った方はこちらご覧いただければと思います。