こんにちは、VIVIWAREの新居と申します。
今回は学校の授業でVIVIWAREを使ってみたいとのお誘いを受けて、聖学院中学の授業のお手伝いをしてきたのでそのレポートをお送りします。
はじめに
話は遡ること半年前、聖学院中学の山本周先生より、授業でVIVIWAREを使えないかというお問い合わせを受けたことから始まりました。
聖学院中学ではGIL (Global Innovation Lab)クラスという土曜特別授業があり、授業3回毎にいろいろな科目を横断的に体験することができるそうです。(面白いですね!)
その1つにロボットに関する授業があり、今年のカリキュラムでは「実際のロボットを本当に作りたい」とのことになったそうです。
当初の依頼内容は以下の通りでした。
- 受講者数は最大100人(とても多い!)
- 授業時間は一回2時間の3回構成(とっても時間が少ない!)
- ロボットを作って競技大会をおこなう(これだけでも大変!)
私みたいなVIVIWAREの一般社員では尻込みするような依頼ですが、この依頼を受けたのは「かっしー」こと柏本でした。高い壁があればあるほど燃え上がる、 熱量の塊のような人です。「ロボコンをやりたい」という点だけでかっしーはすぐにVIVIWAREを使えば実現できる!と対応策を先生にプレゼンし、授業で使う事に決まったと聞いています。
かっしーが提案した授業案は、
- 1回目: 製作
- 2回目: 実験
- 3回目: ロボット競技会
という、一見とても簡単に見えますが、彼の深い知見から「できる」と考えた方法です。
ロボットはVIVIWAREの「テンプレロボット」と言われる部品点数を最小限に押さえた社内標準ロボットを組み立てる事にして、データを提供しました。
生徒の参加方法としては、4人一組でグループを作り、2人はソフトウェア班、残りはロボット組み立てる「組み立て班」としてこの授業に臨みました。
授業開始
第一回目の授業は2022年初めの1/15でした。この回はVIVIWAREのソフトウェア講習と、ロボットの組み立てを同じ会場でおこないました。 しかし人数が多いので、生徒が出席する教室数は5つあり、「かっしー」が教える教室と、遠隔で繋がっている4教室に分かれました。
ソフトウェア班にはソフトをインストールした状態のタブレットが渡されます。生徒自身はタブレット操作については使い慣れているため、 VIVIWARE Cell Appによる操作感を直ぐに試すことができました。
組み立て班には、2時間で完成できるよう、ロボット部品を予めレーザーカッターで切り出した材料を準備し、それぞれのグループ毎に配りました。 生徒達は一緒に配られた簡易マニュアルに沿って組み立てていきます。
しかしながら、第一回目の遠隔授業ですから、進行は予定通りにはいきません。また、ロボット作りも進みの早い班もありますが、2時間で完成というのは とても高いハードルでした。このまま2回目に進むにはどうするかというところで、新型コロナウイルス感染症の急増を受けて、授業は一時中止となりました。
アフターコロナの世界ですから、このような突発的な事も普通に生じます。ただ、それをマイナスと考えるだけでなく、ちょうど良い仕切り直しの時期だった、 と考えることもできそうです。
この時間を利用して、VIVIWARE社側でも製作マニュアルの改訂などを行うことができました。
授業再開
さて、授業の再開は年度が変わった4月に決定しました。第二回目が4/23、三回目は5/7となりました。 これだけ授業の間が空くと、参加できない人などが発生するため、同じグループで同じロボットを作るというのが難しくなりました。 このままでは2回目の授業で、グループ変更などをおこない、ソフト+ロボットを組み合わせて実験をするのが難しい状態でした。
それなら、ということで授業サポートの大学生により、授業前にロボット組み立てを終えてしまうということにしました。 授業当日は、組み立て班にはロボット本体は完成しているものとして、競技にあわせて紙やスタイロフォームによるアームの強化に取り組んでもらうことになりました。
また、ここからは聖学院中学側の先生方が授業資料を生徒に合わせて準備して、授業を回していくことになりました。 ソフトウェア講習も、残りを漫然とした講習として進めるのでは無く、ロボット操縦に必要な機能に焦点を合わせ、ブロックがちょっと不足した状態のプログラムを準備し、 そこを穴埋めするクイズのような教え方で、生徒側にわかりやすい方法に変更することになりました。
逆転の発想ですが、これなら2回目の時点でどの生徒にも同じような体験を提供できます。学校の授業ならではの解決方法でした。
ここで、VIVIWARE CELL AppにあるQRコードプログラムダウンロード機能が大活躍。
「よくわからなくなっちゃった」という生徒に、壁に貼り付けたQRコードを準備するだけで、簡単に何度でも試せる環境を提供できました!
それにより、第2回目の授業の日には、練習用ステージで多数のグループが実験をおこない、ソフトやハードを改良する、というロボット製作で最も大事なステップを 体験してもらうことができました。 勿論、ステージのある大会議室は大にぎわいで、サポートの方(私はロボットが壊れたときのサポート担当でした)はてんてこ舞いですが、それでも生徒は楽しんでいましたし、 最後には全てのチームがロボットを操縦できるようになっていました。
この回になると、もうかっしーのロボット授業では無く、聖学院の授業になっています。先生方はもうVIVIWAREを1つの教材として授業を組み立ていました。 しかし、徐々に慣れてきたように見えるこの授業、波乱の第3回までのほんの序章にすぎませんでした。
競技会当日
さて、第3回目の授業日がやってきました。 この回は、調整+競技大会となります。80人の生徒が作業をおこなう教室とステージのある大会議室の往復をおこない、競技を進めることがどれだけ大変なことか、 実際にやってみないとわからない点ばかりです。ここはVIVIWARE社でも知見が不足していたところでした。
この日の波乱の様子は、先生方、生徒、サポート隊の三者の関係としてまとめられそうです。
- 先生方は予め競技の順序を決め、スケジュールを準備し、会場を準備していました。で、授業中は説明と進行をおこないます。
- 参加する生徒達は競技の前にやりたい事が色々あるようでした。ちょっと改良したり、どこかで試走したいといった要望です。
- サポートする大学生も10人以上参加し、スケジュールを守り、生徒達を順次送り出し、競技を進めていくことになります。
しかし、いざ始まってみると、時間通りには進まず、競技開始の時間になっても相手が来ないなど、カオスな状態です。
凄いのはここからです! サポートの大学生は半数以上が卒業生だったのですが、生徒達のことをよくわかっているようで、先生方との連係プレイで状況が改善していきました。
- グループを待機場所から順次送り出す
- 会場に来たチーム同士を順次マッチ
- その時点で空いたステージを見つけてチームを誘導
- 順次競技をおこなう
という、分散制御的な方法に変わっていたのです。当初の予定とは全く異なりますが、キチンと進むようになりました。 結果として、いろいろカオスもあったり時間もちょっと(?)超過しましたが、全チームの競技を完了することができました。 生徒はみな、競技で勝った負けたと大はしゃぎです。
生徒が楽しめたという点で、この授業は大成功だったと思います。
おわりに
中学生に2時間×3回の授業をおこない、以下のことを体験してもらいました。
- ロボット作り(全部ではないですが、説明書を読み、材料を組み立て、ネジを締めていく作業)
- ソフトとロボット本体との連携、実験しながらソフトやロボットの改良
- 自分たちで作ったロボットを操縦し、競技に出る。
ただ、この授業の準備のために、先生方やサポートの大学生は夜遅くまで作業が続いたと聞いています。 いろいろお疲れ様でした。
授業内容についても、うまく行ったところも、折角準備したけど使えなかった部分など、まだ改良の余地もあるとは思います。 もし次回も開催されるのでしたら、VIVIWARE社もリベンジさせていただき、より生徒さんに楽しんでもらえるようサポート していきたいと思います。
関連文献!
そもそも聖学院ではロボットに興味をもつ生徒も多く、課外活動としてこんなこともやっています。 こちらの課外活動と授業に、両方参加している生徒もいるそうです。