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VIVITAの壺 #9 ソフトウェアエンジニア柏本 和俊 ほぼ一万字インタビュー

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VIVITAの壺とは!?
VIVITA管理部のくぼちゃんとコミュニケーターのさかいが、社内のヒト・モノ・コトについてインタビューしまくるコーナーです。VIVITAの魅力をみなさまにお伝えすべく、どこまでも食い下がり核心に迫ります。


VIVIWARE Cell 開発に勤しむ日々

さかい:
かっしー、もしかして緊張してますか?

柏本(以下かっしー):
緊張しますね、 自分のことを話せと言われると・・・。 例えば VIVIWARE に関するインタビューなら僕はいくらでも喋れますよ。2時間でも、何なら一晩でも(笑)。
そっちのほうがブログ記事的にも有意義な気がするんですよね、僕の人生なんかよりもよっぽど・・・。

さかい:
VIVIWARE については他のみんなも話してくれてるから(笑)。
はい、そういうわけで。VIVITA の壺はなんと、かっしーで9回目なんですよ。

かっしー:
なんで「VIVITA の壺」って言うんですか?

さかい:
これはね、NHK「美の壺」的なノリです。VIVITA というカオスがつまった壺から、今日はかっしーを取り出してみました、みたいな、ね。

かっしー:
今回だけタイトル変えて「VIVITA の絶望」にするのはどうですか。「VIVITA のぜ ”つぼ” う」。

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かっしーはいつも絶望していることで有名です

さかい:
ではさっそく、かっしーの絶望について聞いていきたいと思うんですけれど、まず、VIVITA でどんなスキルを生かして何をしているのか教えてください。

かっしー:
まず、メインは VIVIWARE Cell の開発ですね。これが今の僕にとって最優先の業務です。

来年春のローンチを目指して、エンジニアチーム総力で開発しています。アプリ担当者として、楽しくて質の高いアプリをお届けできるように日々開発に勤しんでいます。

さかい:
かっしーはソフトウェアエンジニアですが、これまで VIVITA ではどんなアプリを開発してきたのですか?

かっしー:
VIVIWARE Cell が一番ですが、VIVIWARE Shell というレーザーカッターの図面が描けるツールや、VIVIWARE StopMotion というコマ撮りアニメを作成できるアプリなどを作ってきました。

あとは、名前を出してもピンとこないかもしれませんが、VIVISTOP Home と言って、VIVISTOP で使っているタブレットのユーザーログイン状態を管理するアプリも作っていましたね。

柏の葉のオープン当初は超忙しくて、4つのアプリを並行して作りつつ、VIVITA ROBOCON の企画もしていました。

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2020年のROBOCON会場

さかい:
なるほど。では、VIVIWARE Shell はかっしーが作ったんですね。いま、VIVISTOP の子どもたちに一番使われているアプリケーションですけれど。

VIVITA ROBOCON はいつから始めたんですか?

かっしー:
企画自体は VIVISTOP 柏の葉がオープンする直前あたりですね。柏の葉がオープンしたのが2017年の3月なので、2月あたりから企画を始めました。で、第1回は2017年の8月開催です。

さかい:
なぜ、ROBOCON をやろうと思ったんですか?

かっしー:
ひとつは、やっぱり VIVIWARE Cell を生かしたコンテンツが何かないといけないと思っていたんですよ。VIVIWARE Cell は素晴らしいツールだと思っていますが、ツールを作っただけで子どもに使ってもらえる状態にはならなくて、これを使える場所や機会、体験とセットで提供しないとダメだと最初から思っていたので。

かつ、オープン当初の VIVISTOP 柏の葉って、目玉となるコンテンツがあまりなかったんですよね。企画メンバーとエンジニア陣が一緒になって、オープンしたら何しようかというアイディアを出し合っていたんです。その時に僕がロボコンを提案したら、そこそこ受けが良かったので、「よし、じゃあやろう!」と思って企画を始めました。

さかい:
今年の VIVITA ROBOCON はオンライン開催に挑戦して、大会そのものは成功だったんじゃないかと思いますが、手応えはどうでしたか?

かっしー:
手応えは半分ってところですかね。

さかい:
ライブ配信を観てくださった外部の方からも評判が良かったですよ。とある企業の方に、遠隔操作は宇宙技術にも通じるし、すごいことだと言われました。VIVITA ROBOCON は子どもたちも楽しみにしているコンテンツなので、今後も続けていけたらいいなと思います。

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2020年のROBOCNで解説するかっしー

ある日突然スカウトが

さかい:
そもそもかっしーが VIVITA に興味をもった理由や入社した経緯を伺いたいです。

かっしー:
ある日突然スカウトがきましたね。

さかい:
えっ!?どこから?

かっしー:
エンジニアの人材紹介会社から。

さかい:
一本釣りみたいな話!?

かっしー:
多分そうですね。僕は転職エージェントに登録とかはしてなかったんですが、いきなり「あなたにおすすめの会社があるんですけど会いませんか」というメールがきました。

普通なら胡散臭いので無視するんですけどね。当時の僕はくすぶっていて、もう転職したいなぁとうっすら思っていたのと、そのメールがスパムのような一斉送信じゃなく、SNS上の作品とか GitHub とかブログとか、僕の情報を割と細部まで調べた上で連絡してくれた感じがあったので、話を聞いてみようかなと思ったんです。

くぼた:
普段からSNSとかに作品をアップしてたってこと?

かっしー:
当時は。今はもうSNSはやってないのです・・・。

さかい:
なるほど、つまり裏アカでってことですね?

かっしー:
SNSはおいといて(笑)。
当時は作品を作って発表したりしてましたね。社外の活動として、サークルを作ったりコミュニティで活動をしたり。

特に、Android黎明期って開発者のコミュニティがすごく活発で、勉強会とか各地でたくさん開催されていたんです。僕もそこに参加して、そこで出会った人たちとチームを組んで作品を作って発表したり、コミックマーケットに出したりしていました。それこそ、後に入社する山下(VIVITAエンジニア)とも一緒にやってましたね。

くぼた:
エージェントの人が、かっしーを何かしらで見つけてダイレクトに連絡したんでしょうね。

かっしー:
会いませんかって連絡がきましたね。当時地方に住んでいたんですが、たまたま東京に行く用事があったので、そのついでに会いに行きました。Piccolo(当時のVIVITAの社名)という面白い会社があるんですよって紹介されて、話を聞いたら本当に面白そうだったので興味が湧いたんです。

さかい:
なぜ面白そうだと思ったんですか。

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かっしー:
当時はまだVIVISTOPの構想もなくて、「子ども向けのデバイスを作る」というのがミッションだったんですね。その新しいデバイスを作る人を募集してるってことで、自分のスキルが生かせそうだというのもあったし、あと、子どものために作るっていうのが刺さりました。

当時の僕はずっと、誰に向かって仕事してるのかわからない状態で。お客さんとか見えてなくて、結局社内の偉い人や受注先の方を向いて仕事してる感があって、モチベーションを湧かせづらかったんですよね。子どものための仕事ってなんかいいかも、と思いました。

さかい:
前職はメーカーだったんですよね?

かっしー:
そうです。

さかい:
今と同じく、アプリのエンジニアだったんですか。

かっしー:
僕は新卒で大手電機メーカーに入りまして。役職的にはエンジニアだったんですけども、やってる仕事は Excel とか PowerPoint とか Word ばっかりでした。

さかい:
なぜ!?

かっしー:
大手メーカーだからじゃないでしょうか。

さかい:
なるほど、すごい答えですね。

かっしー:
30〜40代の大手メーカーのソフトウェア開発の人は多分わかってもらえると思うんですけど、大手 SIer もそうですが、当時プロパー社員はプログラム書くのが仕事ではないって言われていたんです。社員は仕様書を書くとか、スケジュールひいて管理するのが仕事だ、みたいな風潮があって。僕もプログラムはあまり書かせてもらえなかったですね。

さかい:
そういうことなんですね・・・。

かっしー:
VIVITA に入社して1ヶ月で、前職数年分よりもたくさんプログラムを書いたかもしれないです(笑)。

ハードからソフトへ、そして沼

さかい:
ちなみに、エンジニアになろうって思ったきっかけは?プログラミングを始めたのはいつですか。

かっしー:
本格的なプログラムは社会人になってからですかね。

さかい:
そうなんですね!大学の専攻は?

かっしー:
機械です。専攻的には、今井さん(VIVITAエンジニア)に近いです。

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VIVITAエンジニアの今井さんといっしょ

さかい:
どうしてプログラマーになったのですか?

かっしー:
大学のときに、どこを目指すか考え直したりするじゃないですか。その当時、携帯電話が流行りだしていたんですね。携帯電話は当時世の中を変えていくツールだったし、これからも世の中を変え続けるツールになるぞっていう確信があって、携わりたいなと思ったんです。

機械系の花形って車やバイク、重工系だったので、その分野の会社も見学したんですけど、機械の図面引いて物理的に動くものを作ることと、手元の小さい携帯電話を比べたときに、こっちの方が自分には合ってそうかなと。これからはソフトウェアだ、みたいなことを漠然と思って、その世界に入ろうと思いました。

さかい:
ソフトウェアエンジニアのかっしーがなぜハードウェアにも詳しいのか、理由が分かりました。もっと遡ると、どうして機械の学部に進んだのですか?

かっしー:
なんででしょうね?(笑)

ロボットが好きだったんですよ、やっぱり。高校生のときに将来エンジニアになるっていう明確なビジョンはありませんでしたが、大学で何したいかって考えたら、ロボットを作ったり整備したりする役割がいいなと思っていたんです。

これを言うと恥ずかしいけど、『ゴジラVSメカゴジラ』のメカゴジラが大好きでしたね。

さかい:
ロボットの原点はそこですか?かっしーはヒーローものが好きですが、そこにはリンクしないんですか?

かっしー:
なくはないですけどね。確かに子どもの頃も戦隊のロボットとか好きだったんですけど、僕はおもちゃをあまり買ってもらえなかったこともあって、小学校1年生か2年生の時に卒業したんですよ。まっとうに1回卒業してるので、それが僕の原点かって言われると・・・。

さかい:
ちょっと脱線するけど、小学校低学年の時に1回卒業したのに、なぜまた入学したんですか?(笑)

かっしー:
再入学したのは社会人になってからなんですよ。中・高・大・院生時代、ヒーローものは全く観ていなかったんです。社会人になってから『仮面ライダーオーズ』が社会現象的なブームになって、当時の上司から「子どもが仮面ライダーにハマってさ」みたいな感じで話を聞かされていたんですよ。

上司があまりにも面白いって言うので、そんな面白いの?と思って、本当にお戯れに、たまたま気まぐれで一度観てみたんです。

そしたら、ドハマリ。『仮面ライダーオーズ』を一話観ただけで、もうにハマったかのように。ライダーがカッコいいのもありましたけど、本当にお話が面白くて、今でも脚本の小林靖子さんを心の先生と呼んでます。そこから戦隊モノにハマり、抜けられないまま、今に至ります。

さかい:
沼・・・。でもほら、「変身ワークショップ」で活かされてますよね。

かっしー:
活きましたね(笑)。脚本とか演出とかセリフとか、全部そこからの知見です。

さかい:
人生は何が何の役に立つか分からないですね(笑)。

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変身ポーズのかっしー

意外な青春時代

さかい:
話を元に戻すと、ロボットが好きだったってことは、ロボコンはやってたんですか?

かっしー:
大学生の頃にやってました。

さかい:
成績はどうだったんですか。

かっしー:
う・・・。良くはないですね・・・。僕の学生時代のロボコンなんて、それこそ一番悪いときはスタートラインから一歩も出ずに終わりました。数ヶ月かけて作ったロボットが5秒で終わり、みたいな悔しい思いをしたり。

あと、サークルに入ってみんなでロボットコンテスト出場を目指してロボットを作るぞってなっても、僕はロボットの作り方が全然分からなくて、ずいぶんみじめな思いをしました。

作れる人はすいすい作るんですよ。でも僕は中高でモノづくり大好きだったとか、そういうタイプでもなかったので、ロボットを作るって言っても何から始めていいかほとんど分からなかったんです。

数学や物理の成績は良かったけど、いくら学校の勉強ができても、いざモノを作ろうとしたらこのザマですよ・・・。ああダメだなと絶望しましたね、あの当時・・・。VIVITA ROBOCON の企画には、そのへんの悔しさを全部ぶつけてる感じがしますね(笑)。

当時の無力な自分がどうやったら楽しめるかタイムスリップしながら必死にいろいろ考えて。そしたらちょうど、今の小学生にも受け入れられた感じです。だからVIVITA ROBOCON に出場した子どもたちは、モノづくりでは既に僕の大学生時点のレベルを超えていますよね(笑)。

さかい:
当時はどうやって乗り越えて、ロボットを作ってロボコン出場できるまでになったのですか?

かっしー:
いや、乗り越えないまま出場しましたよ。スタートラインから一歩も出れなかったけど(笑)。ただ一歩間違えれば、最初の頃の訳分からなさで挫折してフェードアウトしていたかもしれないですね。

さかい:
どうしてフェードアウトしなかったんでしょうね。

かっしー:
たまたまですよ。ロボット作りは最初はあまり楽しいと思えなかったけど、部室の居心地が良かったとか、そこでできた友達と仲良かったとか、別の要因もあってそこに居座り続けたってのもありますね。でもやっぱり出来ないままっていうのは居心地が悪い空間でもあったので。

僕はそんな環境があったから、たまたま続けてこられたけど、やっぱり本質的に必要なのは「作ってみたいと思う好奇心を刺激する環境」とか「ロボットを作って楽しかった体験」だと思うんですよ。

さかい:
人も含めて、環境の居心地が良かったというのも、続けていく重要な動機ですよね。

ロボットは大学生になってからってことですが、小中高生の頃は何をしていたんですか?

かっしー:
あんまり面白くないですよ。いわゆる「レールの上をいく人生」です。

さかい:
いわゆる「受験」ですか?っていうか『カイジ』持ってきたよ(笑)。

かっしー:
小学校は塾通い。有名中学、有名進学校と受験戦争のコマを進め、一流大学に入る。入って3年もすれば今度は就職戦争。頭を下げ、会社から会社を歩き回り足を棒にしてやっととる内定。やっと入る大企業。これが1つのゴールだが、ホッとするのもつかの間・・・(以下割愛)

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『カイジ』から引用するかっしー

さかい:
もしかして、ずっと進学校で勉強して、みたいな感じだったんですか?

かっしー:
中高一貫だったんですけど、割と落ちこぼれましたね。

さかい:
とは言え、大企業に入れてるじゃないですか。辞める時、ご家族は反対しなかったんですか?

かっしー:
・・・・・。

さかい:
無言。

かっしー:
いろいろありましたね・・・。

さかい:
そりゃあるだろうなあ。かっしーはなんとなく、小中高生の頃なんて家の中のありとあらゆるものを分解してそうなイメージだったけど、優等生だったんですね。

かっしー:
優等生でもないですよ(笑)。

さっきも言いましたが、中学では落ちこぼれたので・・・。しかも別にサボっていたわけじゃなく毎日毎日休みもせず学校に行って、真面目に授業受けて、それでも落ちこぼれたんですよね。だから謂わば、よく漫画に出てくる「真面目だけど要領が悪くて成績上位に入れないガリ勉」タイプですよ。

くぼた:
でもかっしー、京大に入ってるよね。

かっしー:
高校2年の時に気持ちを入れ替えました。「俺はただ漠然と勉強してるだけじゃダメだ」ということにやっと気付いて。いや、その前から気付いてはいたけど目を逸らしていたというか。でも、高校2年のときにようやく覚悟を決めたんです。

目標ができたのが大きかったですね。いろんな大学を見学したときに、京大は大学生が一際生き生きと楽しそうに見えたので、ここに行きたい!と強く思ったんです。でも、そこに入るための必要な偏差値と現在の自分の偏差値の差を見て絶望して、もうどうすればいいんだと・・・。そこで冷静に作戦を立てるところが、僕のスタートでした。

で、そこから毎日必死で勉強に全力集中してやっと入ったので。だから僕は普通にやってたら全然ダメな奴なんですよ。そこそこの力加減で要領よくとかできない。落ちこぼれたときは本当に低空飛行だったので。

さかい:
でも、そこからの京大合格ってすごくない?勉強の方法とか編み出したんですか?

かっしー:
今のままじゃ無理だと思って、試験の度に勉強の仕方と結果を分析してやり方変えてましたね。とにかく必死。

さかい:
その勉強法を本に書いたら売れそう・・・。絶望からの大学受験。

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絶望の淵を漂いながら

さかい:
ちょっと意外なかっしーの青春時代に驚きましたが、今の自分に一番影響を与えている原体験や出会いみたいなものがあれば伺いたいです。

ちなみにロボットを作りたいっていう動機と、京大に入りたいっていう動機はリンクしてますか?

かっしー:
そこは確かにリンクしましたね。高校のときにどこの大学に行ってどんなことをしたいかって考えたときに、大学に行ってロボットかな、みたいな感じで。

でもロボットについてそこまで強烈な思いは特になかったと思います。子どもの頃にこういう原体験があったからロボットやりたいんだ、ってのはないです。なんとなく感があります。

さかい:
意外とそんなものですよね。

かっしー:
だから僕は、社会に出てからの方がモノづくりしていて。

原体験か分からないですけど、企業での仕事があまり面白くなかったんですよ。毎日 Excel ばっかりやって、エンジニアなのか Excel 職人なのか分からない感じになっちゃってて、そんなときに、さっき言った社外のコミュニティに飛び込んでみたら、バリバリなエンジニアたちに出会っちゃうわけですよ。

あの時は愕然としましたね。社内を向くとエンジニアって PowerPoint と Excel してる人が多かったんですが、外で出会うエンジニア達はバリバリプログラム書いてバリバリアプリを世にリリースしてるんですよ。プログラムが大して書けない僕って本当にエンジニア名乗っていいんだろうかと絶望しました。でもやっぱりプログラム書けるようにならないとな、と腹くくって。

今のままの自分じゃ、また中学のときと同じく落ちこぼれて死ねるぞと。そして10年後の自分は、プログラム書けない Excel 職人だけが取り柄の人間になりそうというビジョンが見えたんです。もう今すでに自分は下り坂にいるぞ、これはヤバイって。

腹くくって必死こいて勉強して、だんだんと人並みにプログラム書けるようになってきたら、それまでみたいな危機感は薄れてきて、途中から「プログラム書けると楽しい」「もっといろんなもの作りたい」という感じに意識が変わっていきましたね。

それからコミュニティの一員として認められるくらいになって、チームを組んで作品をたくさん作って発表したり、家のモノをハックしたり、展示会に出してみたり。謂わば、他のすごい人たちが小学生の頃に通った道を、僕は社会人になってから歩み始めた感じがしますよね。

さかい:
そうなんですね。社会人になってからだったんですね。

かっしー:
そうですね。でも思い返せば、大学でロボット作っていた体験も効いてはいると思います・・・。原体験と言えばどっちでしょうね。分からないです。

さかい:
今のかっしーを作っているのは、社会人になって外の人たちとの関わりの中で自分を俯瞰して見たときのような気がしますけどね。

かっしー:
自分を俯瞰して見たときにヤバイぞっていうのは、大学に入ったときにも感じているんですよね。希望の大学に入れて俺は勉強はできるんだ、みたい自惚れがあったけど、いざモノを作ってみたら、自分はちっともできなくて絶望して。自惚れは入学1ヶ月で砕け散りました。何回もこんな体験してますね、何なんでしょうね(笑)。

さかい:
かっしーをグラフで書いたらこう、上がったり下がったりなんでしょうね。そうやって波を描きながら上がっていくタイプなんですよ。

かっしー:
波を描きながら徐々に下がっているかもしれない・・・。

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絶望するかっしー

さかい:
下がってないよ!(笑)

VIVIWAREと思い描く未来

さかい:
カッシーは VIVITA に入社して何年目ですか?

かっしー:
12月で丸5年ですね。

さかい:
これからVIVITAで何をしていきたいですか?

かっしー:
まずは VIVIWARE Cell を作りきりたいですね。

ただ、VIVIWARE Cell を作るってことだけを目標にしてもダメだと思っています。作っておしまいではなく、それを使って子どもたちの学びや楽しい体験を提供してこそなので、そこを見失わないようにがんばりたいですね。

さかい:
VIVITA ROBOCON もそのひとつですか?

かっしー:
そうですね。僕の他の活動は、ほぼ全てそのためですね。ひょっとしたら VIVIWARE Shell でさえです。VIVITA ROBOCON やトイデザイン、変身ワークショップも VIVIWARE Cell と子どもの未来のためですね。その2つのベクトルの内積を最大化できるよう目指してがんばっています。

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さかい:
かっしー自身はどこを目指していきたいですか?実現したい世界はありますか。

かっしー:
子どもたちが VIVIWARE Cell を使って、次々と新しい作品を作り出すようになったらいいですよね。VIVIWARE Cell であんなことやこんなことができたよ、みたいなことがたくさん生まれたら嬉しいです。

さかい:
VIVIWARE Cell のプロダクトとしての未来は何か思い描いていますか?

かっしー:
プロダクトの未来!?難しい質問ですね・・・。

さかい:
例えば、嶋田さん(VIVITAエンジニア)はモノ作りするときのツールとして突き抜けたいと言ってたりするじゃないですか。

かっしー:
そういう意味だと、嶋田さんが考えていることはしばしばチームでも共有されるので、チーム全体として当然僕もそこを目指してます。ですが、僕個人の考えを問われるとちょっと難しいですね。

ツールとしてずっと使えるものにしたいっていうのはもちろんですが、モノ作りだけじゃなくて、いろんな活動に使えるポテンシャルがあると思うんですよ。変身ワークショップもそうですし、それこそ先日神戸で芸大生が子ども向けワークショップの技術素材として活用したりしました。いろんな使い道を増やしていきたいです。

だから、VIVIWARE を使った子どもたちが、これを起点にコミュニティ交流を始めたり、チームを組んで新しい活動を目指したり、できることがどんどん増えるといいですね。Excel しかできなかった僕が外の世界に行ってプログラミングが書けるようになり、他の人たちとチーム組んだりいろんな活動ができるようになって世界が広がったので、同じことが VIVIWARE でできるといいなと。このツールを起点に、子どもにとって世界が広がる体験が増えればいいなと思います。

さかい:
それはすごく素敵ですね。

かっしー:
僕っぽくないですね・・・今の・・・(笑)。

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やっぱり絶望するかっしー

顔が見える誰かのために

さかい:
VIVITAで働くことについて聞きたいです。VIVITA でしか得られなかったようなこと、例えば VIVITA で働いたから気付いたことや、自分自身が変わったなと思うことはありましたか?

かっしー:
仕事への意識は変わりましたね。

僕は正直、大手メーカーにいた頃って、途中から仕事に全力投球できていないんですよ、サボってはいないけど。ガラケーから Android に変わって技術の潮流が変わっていた時期だったこともありますけど、社外で技術を蓄えるほうに力を入れていたので、仕事に全身全霊込めてたかというとそうでもない。

VIVITA に入ってからは、仕事に対して全力投球するようになりましたね。いままで蓄えてきたスキルを発動するとか、新しい事に挑戦するとか、必死にアイデアを練るとか、細部に神経研ぎ澄ませるとか、そういうことを仕事に対して真剣にやるようになったのって VIVITA に入ってから初めてかもしれません。

やっぱり仕事も真剣にやってこそ初めて見えてくるものがありますね。たらればになりますが、大手メーカーでも全身全霊で仕事していれば、何か別の世界が見えてきた可能性はあったかもしれません。

さかい:
その企業の中で通用する人にはなったでしょうね。

かっしー:
そうですね、その企業でしか通用しない人間になる未来が見えたので、全力になりにくかった・・・。

僕が入社した当初は正直、大企業だから定年まで勤めるぞという雰囲気もまだありましたが、特に iPhone が登場したあたりから一気にそれがなくなりました。実際に携帯電話の事業部がなくなって、望まぬ形での異動や転勤も経験しているので、大手企業の中でしか通用しないスキル身につけることに対する危機感はありました・・・。

さかい:
その危機感を持てたのはよかったですね。

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かっしー:
あと、こうして言葉にすると、VIVITA 入社前は割と保身のために動いてますよね。大企業にいた当時はエンドユーザーが遠くて、お客さんのために物を作るっていう意識がなく上司やお偉いさんのために仕事している感はずっとありました。

社外での活動も、割と目的が自己満足感強かったので。それで経験値は増えたので良かったんですけど、顧客に対して直接的に貢献できる活動ではあまりなかったかな、と。

でも VIVITA は顧客である子どもの顔がモロに見えるから、顧客のために仕事をしている意識が芽生えましたね。VIVITA に入って初めて、誰かのためにプログラムを書いてる喜びみたいものを感じました。

さかい:
なんていい話だ。西沢さん(VIVITAデザイナー)もインタビューで「VIVITA は究極のアジャイル環境だ」って言ってたんだけど、それと同じですね。

かっしー:
もちろん厳しいこともありますけどね。それこそ、しゅんすけたち(VIVISTOPの子どもたち)に何回怒られたことか(笑)。

さかい:
VIVITA だからこそ出来ることですね。

かっしー:
そうですね。子どもたちの活動の場所を運営してるから反応がダイレクトで、だからどこよりもユーザーが近い。今後組織として大きくなったら、間接部門などが出来て遠くなっちゃうかもしれないんですけど、できればずっと近めの距離感でいられたらいいなとは思いますね。

今は VIVIWARE Cell の開発にかかりきりで、子どもたちと遠くなっている感じなんですが、開発が落ち着いたらまた VIVISTOP に行って、活動の幅を広げていきたいですね。

さかい:
子どもたちはみんな、かっしーのこと待ってますからね。

かっしー:
もうそろそろ、忘れられてるかもしれませんよ・・・。

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キラキラしてない日常

さかい:
そろそろプライベートのことも聞いていこうかと思うんですけど。

かっしー:
えー・・・。そういうことはプライベートがキラキラ輝いてる人に聞いてください・・・。

さかい:
おやすみの日は何をしているんですか?

かっしー:
ボケーっとしています・・・。逆にみなさん、何してるんですか?

さかい:
私はネットでオカルト板を読んでますよ。

かっしー:
(笑)。あっ、そういえば最近は料理してます。

さかい:
すごい。えらい。昨日の晩ごはんは何ですか?

かっしー:
野菜炒め作りました。シンプルに、野菜を炒めて食べてました。

さかい:
おいしそうじゃないですか。野菜も摂れるし、いいですね。

では、お休みの日はぼーっとしてキラキラしてないということで。いいと思いますよ、意外とみんな、キラキラしてないですよ。私も昨日、散歩してランチして、それ以外はネットでオカルト板読んでましたし。

かっしー:
「散歩してランチ」で既にちょっと眩しいかも(笑)。

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マウンティング?

希望と絶望の交差点?

さかい:
では最後に、かっしーにとっての VIVITA を一言でお願いします!

かっしー:
難しいですね。会社として VIVITA を言うのか、子どもが活動するコミュニティとしての VIVITA を言うのかで変わりますよね。

さかい:
どっちでもいいですよ。

かっしー:
うーん・・・。

くぼた:
めっちゃ悩んどるやん。まじめなんだね・・・。

さかい:
希望と絶望の交差点。

かっしー:
それだと会社が絶望してるみたいになっちゃうじゃないですか。絶望は僕だけなので(笑)。

VIVITA はまだ若い会社で、体制とか勤務場所とか、割ところころと変わっていきますし、大人側も成長と変化を余儀なくされるんですよね。だから「子どもと一緒に成長する会社」でどうでしょう?

さかい:
いいですね。これからも、みんなで育っていきましょう。

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編集後記

かっしーが議事録を書くと、そのミーティングやディスカッションに参加してなくても流れが手に取るように分かるので、言語能力がすさまじいなぁと以前から思っていたのですが、今回インタビューを書き起こして編集してみたら、あまりにも理路整然としていて驚きました。そして、かっしーの子ども時代が予想外で本当に驚きましたが、絶望しながら成長曲線を描いてきたあたり実にかっしーらしいなと思ったのでした。これからも子どもたちと一緒に、VIVIWARE の未来を一緒に描いていきましょう。(さかい)

かっしーは言いたい事をはっきり伝えるタイプで、それゆえ私とかっしーは普段顔をあわせると衝突する事も多いんですが、それは彼に裏表がなく、何事に対してもでまっすぐで全力投球だからなんだなと今回のインタビューであらためて思いました。そしてだからこそ強烈に心を動かす事が出来る。 私は文章書いてもプレゼンしても何をやっても、そつなくこなすこの人を本当に才能があっていいなと思っていましたが、それは決して才能だけではなかったんだと思います。まさにVIVITAにピッタリの人で、この記事をぜひ多くの人に読んで欲しいと思いました。(くぼた)

■VIVITAでかっしーと一緒に働いてみてもいいかな?と思った方はこちらをクリック! recruit.jobcan.jp (編集・境 理恵 × 窪田 有希 /写真・境 理恵 /デザイン・mix)