こんにちは、VIVIWAREのかっしーと申します。
先日、高知県佐川町でおこなわれたイルミネーションイベント「さかわ酒蔵ロード劇場」のイルミネーション展示「バイカオウレンの群生」にVIVIWARE社が技術協力しました。その顛末とイベントの様子をレポートします!
さかわ酒蔵ロード劇場とは
歴史的建造物が並ぶ佐川町上町地区「酒蔵の道」を舞台にしたイルミネーションイベントです。さまざまなアーティストや小中学生のプロジェクションマッピング作品が建物に投影されます。バンドのライブもあり、光と音楽のハーモニーが楽しめるイベントです。2022年は3年ぶりに現地での開催となりました。
https://sakawa-kankou.jp/event/29
ことの始まり
VIVITA ROBOCONなどで協業している「さかわ発明ラボ」さんが本イベントに出展するということで、我々にご相談いただきました。
制作には発明ラボのメンバーで造形作家の森本さん、トコトデザインの山千代さんが携わっており、出展テーマとして佐川町出身の名士、植物学者の牧野富太郎博士と彼の愛した花「バイカオウレン」をモチーフにすることが決まっていました。
LEDテープライトを用いたイルミネーションにVIVIWARE Cellを組み合わせてインタラクティブ要素を足せば、一味違う展示にできるのではないかというご相談でした。
しかしここで課題となったのはその数と光り方。 VIVIWARE Cellの標準のLED CellはフルカラーLEDによる多彩な光り方をプログラムで組めますが、あくまで点として光るもの。本件のように線状に発光する表現は難しいです。 また、変身ワークショップのときのようにカスタムCellを用いての表現はできなくはないですが、このバイカオウレンの花は地面を埋め尽くすように大量に設置したいということで、工数や費用の関係でやはりこちらも難しそうです。
頼もしさ1000%!ハードウェアエンジニアに相談だ
途方にくれた僕はVIVIWAREのハードウェアエンジニア新居さんと前田さんに相談し、一緒に実装方法を考えます。 既存のLED Cellのフタを開いてはんだ付けする方法なども考えましたが、最終的には Motor Cellを使用する案でいくことにしました。
Motor Cellは内部でモータードライバーという回路を備えており、こちらはPWMという手法で電力の供給量を細かく制御することができます。普通の使い方であればこれはモーターの回転スピードを制御することに使うのですが、LEDを接続すればLEDの明るさの制御として用いることもできるのです。 (ただし、モータードライバーは プラスマイナス反転の機能があり、モーターを接続した際には逆回転という形で活きるのですが、LEDを接続した場合は反転してはいけません。)
Motor Cellの電源は 9VまでOK(普段使いでは1.5Vの乾電池4本で6V)、各ポートからの出力は3AまでOKという内部技術仕様があるようで、それを超過しないように電力測定と部品選定をおこないました。
さかわ発明ラボで用意しているLEDテープは12V仕様の品でしたが、9Vの電源でもそこそこの明るさで発光することがわかりましたので、こちらで回路を組みます。
ハイパー設営タイム。輝けバイカオウレン!
Motor Cellを仕様したことで、電気回路の製作という点では大幅な省力化が見込めます。VIVIWARE Cellはハードウェアに明るくない人のプロトタイピングツールとして非常に有用ですが、自由にCellを組み合わせ・連結することができるので、エンジニアが製作をおこなう場合であっても省力化に大いに役立つツールであると改めて感じることができました。
しかし、それでも本イベントで光らせるバイカオウレンは30個。Motor Cellを15個連結する必要がある大掛かりな装置になります。さらにそこにインタラクティブ要素としてお客さんの接近を検知する測距センサーや、明るさや光方のパターンを手動で変更できる入力要素が加わります。山千代さんが大きな板にCellを固定する基板を作ってくれましたが、さながら秘密基地の巨大コンソールです。唆(そそ)りますね、これは。
光り方のプログラムは山千代さんのこだわりもあり、通常点灯、リレー点灯の他に、お客さんが近づいたときのプレッシャー点灯などのパターンを実装しました。僕の中では久々の大規模Cellプログラムです。
イベント当日の午後からは現地での設営です。広い場所にバイカオウレンを広げるため、現地でケーブルを切って接続の作業を進めます。
本番開始。牧野博士、佐川町に立つ。
夕暮れまでになんとか設営を完了することができました。 いよいよ、さかわ酒蔵ロード劇場2022が開始です。イベントのメインストリートからはやや奥まった位置での展示でしたが、それでもたくさんのお客さんが足を運んでくれました。インタラクティブな要素があることで、どのお客さんも比較的長時間の鑑賞をしてくれていたように思います。
犬のお客さんも立ち止まってじっくり鑑賞してくれてました(笑)。
お客さんからもたくさん感嘆や称賛の声が上がっていました。みなさん、本展示にたどり着くまでにすでにたくさんのイルミネーションを観賞してきたはずなので、やはり今回の展示は本イベント全体の中でも異彩を放っていたと思います。
個人的に面白いと思ったポイントは、山千代さん製の制御コンソールがお客さんから見える位置に置いてあったこと。本来であればこれは舞台裏の要素であり、隠れる位置に設置するものだったと思いますが、お客さんの見える位置に置いたことイルミネーション本体はもとより制御板も一つの要素として楽しんでいただいてました。触れてもOK / 触れたくなる電子回路としてのVIVIWARE Cellの良さをまた一つ再発見した感じがして、とてもうれしかったです。
山千代さんからもコメントをいただきました!
このイルミネーションの構想をするときに真っ先にVIVIWARE Cellの組み込みが頭に浮かびました。インタラクション(体験)の構築やプロトタイピングのスムーズさが活きると感じたからです。
本番当日もたくさんの来場者がイルミネーションを観て楽しむだけではなく、本来「触ったらダメそうな」実装部分にも触れて楽しむことができたのではないかと思います!今後もまたVIVIWARE Cellを使ったインタラクションを作っていきたいと思います!
終わりに
今回技術協力という形で参加しましたが、我々にとっても新しく魅力的な展示イベントとなり、また、自社製品の新たな一面や忘れかけてた一面を再発見する機会にもなりました。ご縁をいただいてとても喜んでおります。さかわ発明ラボとトコトデザインの山千代さんにはこの場を借りてお礼を申し上げます。
イルミネーションやライトアップイベントでひと味違った企画をしてみたいと思った個人や団体の方がいらっしゃれば、ぜひお声掛けください。