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フシギな生きものを生み出そう!tsuQmo∞大作戦、始動

tsuQmo∞大作戦とは?

こんにちは。VIVITAクルーのさかいです。

最近、VIVISTOP 新渡戸の VIVINAUT と一緒にあたらしい活動を始めました。
みんなが着なくなった衣類をフシギな生きもの”tsuQmo”に生まれ変わらせ、彼らが住む宇宙=みんなでコミュニケーションできるプラットフォームを構築していくプロジェクトです。

まだ小さな取り組みですが、この活動が生まれた経緯や今後の計画について、少しお話ししたいと思います。

プロジェクトの背景

私は以前、子どもたちと「特別な一着」をデザインする「CLOTHES PROJECT」というプロジェクトに取り組んだことがあります。それは自分の内面世界を具体化する=デザインすることに重きをおいた活動で、従来の衣服づくりのプロセスを学んで踏襲するものでした。

たしかに子どもたちやクリエイターと一緒にデザインする過程は楽しかったし、すてきなもの、面白いものが生まれて、プロジェクトとしては成功したのだと思います。けれど、同時に思い知ってしまったことは、大量生産、大量廃棄のサイクルの中にいることに変わりはなく、社会は何ひとつ変わらないという現実でした。

焼き増しの活動はしないけれど、これで終わりとせず、活動を通して直面してしまった華々しいファッション業界の「影」の部分から目を背けることなく、手を動かしながら自分たちにできることを考え続けてみよう。私たちは、一度学んだ従来の衣服づくりのプロセスを捨て、アプローチから探ってみることにしました。

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廃棄を生まない衣服づくりに取り組んでみたら、自分たちで素材からつくるべきでは?というひとつの結論に辿り着き、突き詰めると「自分たちで織り機(道具)をつくる」ってことね?と納得したりしつつ、並行して「今まさに廃棄される運命のものを何とかできないか?」とリサイクルやアップサイクルの方法を探ってきました。

ここでちょっと寄り道しますが、VIVISTOP for Bricoleur のクルーが取り組んでいる「Re:Re:Re:Clothes」という反毛のプロジェクトは自分たちで道具をつくっており、そして、いずれやってくる「捨てられない未来」に対して私たちはどうするか、という問いを持ち合わせています。本日(2023/11/16)より南青山で開催される「ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2023」に出展していますので、興味がある方はぜひ。

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閑話休題

リサイクルやアップサイクルの方法を探るうちに、これはこれで負の側面があることに気付きます。いや何事もそうなんですけれどね。フォースにダークサイドがあるように・・・。

リサイクルプロセスのもう1つの側面であるダウンサイクリングでもなく、再利用した部位以外ゴミになってしまうこともない、市民の手による”完全なる”アップサイクリングができないか。

大量生産され消費され、大量生産の過程で不要とされ、廃棄される運命のモノを、市井の人々の対話と思考、そして手作業によって、新しい価値と存在する理由を持つ、唯一無二のモノに生まれ変わらせられないか。

あと、何はなくとも楽しくないとイヤだ。 (※とても重要)

そんな思いを温めていたある日、VIVISTOP新渡戸で活動するVIVINAUTのハンナから、すてきな提案をいただきました。それはVIVISTOPのみんなが着なくなった服を持ち寄り、モンスターに生まれ変わらせよう!というもの。
おお、それはとっても楽しそう!

ハンナ氏は独創性に溢れ、やりたいこと、つくる衝動が渋滞しているタイプのクリエイターです。つくる衝動って、一番の才能なんじゃないかと常々思います。

余談ですが、以前、私が企画した「みんなの空想ラボ AKIBA Robot Challenge」にも参加してくれました。ところが応用編の「へんてこロボ道場」の日程が雨天延期になった運動会とかぶってしまい、残念ながら不参加に・・・。そのときハンナが道場でつくろうと考えていたらしい「ひとめぼれ量産マシン」が今でも気になって仕方ありません。

そして彼女のお母さんであるメグミさんもとってもクリエイティブ。VIVISTOP新渡戸の土曜日のTinkering Sessionでは、子どもも大人も入り混じって自分がつくりたいものを自由につくり、それが化学反応を起こしながら新しい活動が生まれる、ということが実現していますが、自由な発想でモノづくりを楽しむハンナとメグミさん親子に、いつも大きな刺激をもらっています。

アップサイクルモンスター0号「ポケポケ太郎」とハンナ。かわいい!

プロジェクトを立ち上げよう

ハンナからの提案を受けて私からも提案したりしつつ、ハンナとメグミさんと一緒に作戦会議を重ね、プロジェクトの骨子をつくりました。

みんなが着なくなった衣類をフシギな生きもの “tsuQmo”に生まれ変わらせるプロジェクト、 その名も

「tsuQmo∞大作戦(つくもえいとだいさくせん)」!!

フシギな生き物 “tsuQmo”は、“viviverse”というマルチバースで生きるミュータント”vivitant”です。ちがう宇宙に住んでいる自分の分身(アバター)でもあり、自由に“viviverse”を旅させて、みんなと無限大につながろう大作戦です。

“tsuQmo”のネーミングは、長い年月を経た道具や自然などに宿る「九十九神(つくもがみ)」からきています。それがまだ何か分からない頃からアップサイクルの活動で生まれたものにつけたいと考えていたもので、いくつかの候補の中でハンナも「絶対“tsuQmo”がいい!」とのことで決まりました。いわゆる「物の怪(もののけ)」なので「モンスター」でいいんじゃないかという話もありますが、なぜ「宇宙」の「ミュータント」なのかというと、それには深い訳がありまして・・・。

この企画を詰めていた当時はちょうど夏で、季節がら各地のVIVISTOPで「おばけ」「妖怪」などのキーワードが多発していたため、差別化するため異世界じゃなくて宇宙、ミュータントにしよう!って思ったんですよね、白状すると。あと、その少し前に映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」がアカデミー賞を獲ったりしてまして、私の中でマルチバースがホットだったんです。 全然深くなかった。

gaga.ne.jp

しかし今となっては、いささか設定が複雑になりすぎたと思っており、マルチバースの“viviverse”はいいとして”vivitant”は要らないし、tuQmoはシンプルに「モンスター」でいいかなと思い始めてきました・・・。ハンナにはまだ言ってません。次回話し合いたいと思います。

プロジェクトが目指すところ

活動を始めるにあたり、プロジェクトが目指すところを言語化しました。

  • 無用とされたモノから、存在する意味を持つ価値あるモノを生み出すこと
  • ゴミを生まない、完全なるアップサイクリングに取り組むこと
  • 活動全体が表現であり、社会へのメッセージとなること

ちょっと前までゴミ予備軍だったかもしれないけど、魂が宿ったらもう捨てられないよね・・・? ね・・・?という、どこか脅迫じみたものを孕んでおりますが、「大量生産され消費され、大量生産の過程で不要とされ、廃棄される運命のモノを、市井の人々の対話と思考、そして手作業によって、新しい価値と存在する理由を持つ、唯一無二のモノに生まれ変わらせる」こと、そのものなのです。

そして、プロジェクトのロードマップはこちらです。

STEP1:素材と向かい合う
不要になった背景を見つめ、社会の構図や変遷を知る

STEP2:新しい価値を産む
素材のルーツ(genealogical tree)と生まれ変わった過程(narrative)の記憶を残す

STEP3:世界とつながる
それらを繋いでいくことで、巨大なモニュメントになっていく

急に真面目ですし、何言ってるかちょっとよく分からないと思いますが、「活動全体が表現であり、社会へのメッセージとなること」の土台づくりを目指しています。

実験してみよう

と、小難しいことを並べるより先に、とにかく手を動かしてみよう!案ずるより産むが易し!ということで、ハンナと一緒にワークショップを開いてみました。

持ち寄った素材や、新渡戸にあるリサイクル材から自由に選んで、自由にかたちにします。

tsuQmoが完成したら、「出生届」を書いてもらいます。
項目は名前、性格や特徴、そしてルーツ(使った素材)などです。

そしてviviverseに住民登録をします。
tsuQmoが住む星の名前、その星の天候や地形、法則や資源などを記載します。

最初の活動で、こんなにたくさんの個性豊かなtsuQmoが生まれました!
まだ公開していませんが、VIVITAのnotionにデータベースをつくって登録しています。

やってみて分かったことは、いろんなものが入り混じる素材を管理するのが厳しい、ということです。本当は素材を登録して管理し、誕生したtsuQmoの家系図的なものを作れたら面白いんじゃないかと考えていたのですが、保管する方法も含めて難しい。

まずは作家本人がどんなルーツの素材を使ったのかきちんと認識していることが重要なので、素材の系譜を作っていくことは、ぼちぼち考えていこうと思います。

大いなる野望

VIVISTOP新渡戸でスモールスタートした活動ですが、いずれ各地のVIVISTOPクルーに協力してもらい、活動の裾野を広げるワークショップを展開したいと思っています。完成したtsuQmoたちを集めてオンサイトとオンラインで展示をおこない、tsuQmoを交換して交流できたら素敵ですね。自分の世界と、みんなの世界がつながって広がっていきます。その土地の風習や文化を反映した、個性豊かなtsuQmoがたくさん生まれてtsuQmo図鑑が完成したら・・・と想像するだけで楽しいです。

協力・協賛してくれる企業や団体を募りつつ、参加してくれる人を増やして、みんなで社会全体を覆うモニュメントをつくる大きな活動にしていけたらと目論んでいます。まるで世界に仕掛ける壮大なイタズラのようですが、この活動に参加してモノづくりを楽しむことで、自分が世界をどう見ているのか、世界にどう働きかけるのかというスタンス=主体性がみんなの中に生まれていったらいいなぁ、などと考えています。

そして私とハンナには大きな野望がありますが、今はまだ内緒にしておきます。
とりあえず私たちと一緒にモンスターづくり、してみませんか?

(了)