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VIVITA ROBOCONへの道 #2:岩手/滝沢編

こんにちは、VIVITAコミュニケーターのさかいです。 2019年9月から10月にかけて開催された「VIVITA ROBOCON 2019」の振り返りを全6回(不定期更新)に渡ってお届けするシリーズ、第三弾は岩手県滝沢市におけるVIVITA ROBOCONへの道のりをご紹介します。

VIVITA ROBOCONを牽引した小金丸&小林コンビが、
滝沢市役所 地域づくり推進課 黒澤 高さん
ビッグルーフ滝沢施設長 沼崎真吾さん
NPO法人劇団りゅう 佐藤樹理さん
滝沢市地域おこし協力隊 佐藤貴之さん にお話を伺いました。

【活動拠点データ】

■活動拠点:ビッグルーフ滝沢、滝沢ふるさと交流
どちらも滝沢市が所有する、会議室やキッチン、大ホール、図書館等を兼ね備えた複合施設。

■運営母体:アルビレオたきざわ共同事業体

指定管理者として施設運営を委託されている共同事業体の方々、滝沢市役所職員、地域おこし協力隊として活動している方々がサポーターとしてプロジェクトの運営に携わる。

■参加人数:10人

黒澤 高さん、沼崎真吾さん、佐藤樹理さん、佐藤貴之さん


VIVITAに一目惚れ

小金丸:7月から始まったロボット制作から10月のVIVITA ROBOCON全国大会まで、みなさんのおかげで無事に盛況に終えることができました。ありがとうございました。

改めて、滝沢のみなさんがVIVITA ROBOCONに参加することになった経緯をお伺いしたいのですが、VIVITAとの最初の接点は黒澤さんですか?

黒澤:はい、そうです。金沢さんという、以前ビッグルーフの運営に携わっていた方を通じて、VIVITAの穴山さんと知り合いました。

私と金沢さんはいつも、ビッグルーフを子どもたちがやりたいことを見つけれるような施設にしていきたい、行政として色々なものに投資をしているけれど、もっと人に投資をするべきだという話をしていてました。

金沢さんはその後キッザニアに転職するんですけれども、そこで彼の同僚になった方の元上司が穴山さんなんですよ。穴山さんと知り合い、穴山さんが行政との繋がりを持ちたがっていることを知った金沢さんが、それなら滝沢市だ!と繋いでくれたんです。たまたま東京出張の機会があったので、会いに行きました。

小金丸:なるほど。まずは黒澤さんの子どもたちに対する思いがあり、それが穴山さんとのコンタクトに繋がったということですね。そして滝沢市でVIVITA ROBOCONをやろうと決めた理由は何ですか?

黒澤:決めたというより、一目惚れに近い状態です。ROBOCONも含め、VIVITAの活動は私にとって、まさにこういうことをやりたいと思っていたことでした。正直、何一つ迷うことなく「もう、すぐにやりたい」と思いましたし、おそらくその場にいた全員が瞬時にそう思ったんじゃないでしょうか。

その後、穴山さんに交渉するのは自分の役目だったので、熱烈アプローチしたというわけです。

9月21日に開催された滝沢予選

二拠点展開で、たくさんの子どもたちが参加できた

小金丸:そうだったんですね。改めて経緯をお伺いできて感慨深いです。ありがとうございます。実際にROBOCONに参加してみて、ロボットの制作や参加準備で苦労したことや大変だったことはありましたか?

沼崎:初めてだったこともあり、何にも分からない状態で子どもたちと一緒にスタートしました。かっしー(VIVITAエンジニア)からは一緒に覚えれば大丈夫と言われていたものの、いざ教室を開催したところ、子どもたちからの質問にすぐ対応出来なかったりして。時間を無駄に使ってしまい、正直このまま最後までやっていけるかなという不安がありましたね。でもそれが後々、我々にとってすごく良い経験だったと思えましたし、今となっては貴重な財産になりました。

子どもも大人も一緒に成長

小金丸:滝沢は活動母体が3つあり、黒澤さんを中心の市役所の方々も関わる、という独特の体制でしたが、複数の団体のさまざまな関係者が関わることによって、どのようなことがありましたか?良かったこと、工夫したことなどがあればお聞かせください。

黒澤:実は、ビッグルーフ滝沢は、ファンスペースという民間企業と劇団りゅうというNPOがタッグを組んだ「アルビレオ滝沢共同事業体」によって運営されていますので、もとは1つの共同体です。ですので、スタッフ間のコミュニケーションは特に問題無かったですね。

滝沢市は子どもがとても多いのですが、首都圏と違って公共交通のアクセスが良くないので、活動拠点が1つだけだと子どもをたくさん集めることが難しい、という課題を抱えていました。そのため、より多くの子どもたちにチャンスを与えるために2ヶ所で活動しました。

また、ふるさと交流館には「チャグホ塾」というアフタースクール形式で色んなことを学ぶ機会があるんですが、そこは小学3年生までなんです。高学年になってもまだやりたいと言う子どもはたくさんいますが、卒業しなくてはいけません。今回のROBOCONでは学年の制限なく、ものづくりしたい子どもたちを集めることが出来たので良かったです。

ただ、子どもたちの活動をサポートする人の移動をしなくてはいけないという意味では大変でしたね。

刺激し合い、最後までやる気が絶えることなく

小金丸:現場で子どもたちをサポートしていた佐藤さんたちから見て、子どもたちの変化や気付きはありましたか?

佐藤(樹):親に勧められて参加した兄弟がいて、最初はあまり乗り気じゃなかったんです。でも制作活動が進んでいくうちに、周りの子どものロボットがすごいことになっていくし、操作もどんどん上達していくので、最終的にはみんなに触発されて頑張っていましたね。その兄弟が一番成長したんじゃないかと思います。最後までやる気が絶えることなく頑張る子どもが多かったな、と思いました。

小金丸:滝沢の子どもたちは本当に真面目でしたよね。飽きたりサボったりする子があまりいなくて。本番の様子を見て、かなり練習したんだろうなと思いました。

9月21日に開催された滝沢予選の様子

滝沢で開催した地方予選、佐藤さんお二人に司会と実況を務めていただきましたが、初めてとは思えないくらい盛り上がって、いい大会になりましたよね。実際に開催してみて、いかがでしたか?

佐藤(貴):やっぱり筋書きがあるものではないので、その場で起きたことを瞬時に言葉にするのはすごく難しなと思いました。あと、制作活動のときから子どもたちを見てきたので、つい感情移入して熱がこもってしまう、ということがありましたね。

小金丸:そうなっちゃいますよね。その子のことをよく知っているとそれが実況に反映されるので、実際に子どもたちと活動を共にしてきたお二人に実況していただいて本当に良かったと思いました。

佐藤(樹):実況側は喋りたいことがたくさんあったので盛り上がりましたが、全国大会に行ってみたらオーディエンスの盛り上がり方が凄くて驚きました。あれを見たら、地方予選も告知や盛り上がる準備をしっかりやれば良かったと思ってしまいました。もっと多くの人に見てもらえれば、もっと熱いものになったのではないかと。

小金丸:初めての開催としては、大成功だったと思いますよ。保護者の方以外にも、子どもたちが制作したロボットに興味を持った方が会場に大勢来ていたことに驚きました。次回があれば、外部の方にたくさん来ていただける環境づくりが出来たらいいなと思います。

緊張とワクワクが入り混じる東京の思い出

小金丸:全国大会の思い出深いエピソードはありますか?初めて東京に行くことを楽しみにしていた子もいたと伺ったので、大会前後の様子も含めて伺いたいです。

blog.vivita.io

沼崎:通常であれば、東京に行くとなるとワクワクすると思うんですが、今回に限っては大会が終わるまでずっと緊張していました。何とか緊張をほぐしてあげようと前日から色々試みたんですけど、なかなかうまくいかなくて。でも終わってみたら、子どもたちにとって貴重な経験になったようで、口を揃えて「また行きたい」「良かった」「楽しかった」と言っていましたね。

小金丸:そうですよね。出場した子どもたちにとっては自信につながり、今後の人生にも大きな影響を与えるのではないかと思います。制作期間中や地方予選の様子からは正直予想だにしない素晴らしい成績を残してくれて、地方予選から全国大会の間に相当な練習をしたんだろうなと驚きました。

VIVITA ROBOCON 2019 FINALに出場した滝沢の子どもたちの様子

では運営側のみなさんにとって、VIVITA ROBOCONでしか得られなかったと思うことや、全体を通して感じたことはありますか?

声を出せば未来を変えることができる

黒澤:小金丸さんとはお会いするたびにお話させていただきましたが、「子どもたちがやりたいことを見つけられて、やりたいことを声に出せる環境を社会がしっかり作れば、未来が変わる」と信じていて、そのような環境を作っていきたいという思いを持っています。

今回VIVITA ROBOCONに参加した子どもたちが滝沢市役所を表敬訪問してくれたとき、「ロボットをもっと作りたい」と声に出していたんですね。まさに「声を出せば未来を変えることができる」と言うことを体感でき、大きなきっかけになったと感じました。

違う小学校に通っていて、本来であれば関わることがなかったであろう子どもたちが、この活動を通して繋がって、例えばもしかしたら、10年後一緒にロボットの研究をしているかもしれないですよね。人を変えるのは人なので、首都圏や海外の方々を交えてそういう出会いや交流が生まれていけばいいなと思います。

沼崎:保護者や我々スタッフも、子どもたちの可能性やパワーをまざまざと見せつけられて、刺激になりました。子どもたちによって大人たちの心が動かされたことが、VIVITA ROBOCONの力であり、滝沢にとっての成果の一つではないかと思います。

佐藤(貴):子どもたちがやりたいことに一緒に取り組むことで、我々大人がこんなに心動かされるんだなと。うまくいかないことも沢山ありましたが、それに対してどうすればできるかということを皆で考えて、ロボットを少しずつ改善して、真剣に向かい合う子どもたちに寄り添ってみて、すごく心が動かされました。

全国大会で優勝したゆうくんがプレイしているとき、他拠点の子どもたちも大人たちも会場全体が応援してくれて、一生懸命な姿を皆が応援してくれるのがすごくいいなと、やって良かったと思いましたね。

ROBOCONで生まれるたくさんの出会い

佐藤(樹):実は昨日、ビッグルーフ滝沢のイベントでゆうくんとばったり会いました。エリアが違うから普段会うことはないので、思わずお互いハグして感動の再会を果たしました。

一同:(笑)

佐藤(樹):VIVITA ROBOCONでは、大人も子どもも人の繋がりができていくのを実感しましたね。子どもたちの思いが実際にロボットで形になること、子どもたち自身が感動体験できたこと、制作期間から本番までの貴重な時間を共有できたということを本当にありがたく思います。

小金丸:そうですね。みなさんが言っている通り、ロボットを完成させた体験で個人の自信がつくというよりも、作っている過程で出来上がる人間関係や、全国大会で初めて会った人同士が応援し合う感動が、子どもたちの中に大きなものを残すのだと思います。

VIVITAと滝沢のこれから

小金丸:最後に、今後VIVITAと一緒に取り組みたいことはありますか?

黒澤:VIVITA ROBOCONは、ぜひ来年も滝沢でも取り組みたいですね。今ここにいるメンバーもそう思っていると思いますし、実際に子どもたちからも「来年もROBOCONあるんですか?やりたいです」という声がすでに届いていますし、ぜひお願いできればと思います。

ROBOCON以外にも、先日柏の葉に訪問したときに絵本のプロジェクト(VIVITA BOOKS)を紹介していただいたのですが、ぜひチャレンジしたいと思います。滝沢からも絵本作家が生まれたらすごく面白そうだなと。ROBOCONには興味を持たなかった子も、絵本なら興味を持つかもしれないですし、いろんな子どもたちに関わってほしいと思っています。

小金丸:ありがとうございます!ぜひ今後とも、よろしくお願いします。

おまけ:”ちゃぐぽんとゆかいな仲間たち”による「おいでよ滝沢!チャグロボ」


インタビューを終えて

子どもたち自身が自分の力でしたいことを思う存分に試せて自由に形にしていける。そんな場所を世の中にたくさん作っていきたいのがVIVITAです。そのためには子どもたちとちゃんと向き合って一緒に活動を作っていく大人もたくさん生まれて欲しいと思ってます。 以前、黒澤さんから滝沢はもともと日本一大きな村として、たくさんの面白い活動にチャレンジしていく気風であったと聞きました。その流れから滝沢は市になり様々な活動の場ができ、たくさんの魅力的な人達が活動を作り出そうとしているのを伺った時に感じました。 環境が人に与える影響は大きいです。同じぐらい人が人に与える影響も大きいです。その両方がある滝沢市で、VIVITAの活動をこれからもたくさん作っていきたいと思っています。末長くよろしくお願いします。(穴山)

僕が滝沢の子どもたちと初めて会ったときは警戒心が強い印象を持ちましたが、接する時間が増えるうちに打ち解け合い、心から素直な子どもたちなのだと知りました。愚直にロボット作りに取り組む子どもの姿勢と、それを手探りでも一生懸命にサポートしている大人の姿勢が、地域のつながりが強い滝沢を象徴していたように思います。これからも一緒に活動していければと思います!(小金丸)

子どもたちの活動のために、大人サポーターの皆さんが思考錯誤しながら支えてくださっていたのがとても印象的でした。活動を進める中で子どもたちがどんどんのめり込んでいくのが手に取るようにわかり、大会が終わった後も適度な悔しさと達成感のもと、もっとやりたい!という声が沢山あがって来たのがとても嬉しかったです。これからも子どもたちが生き生きする活動を一緒に作っていけると幸いです。(小林)


次回は「VIVITA ROBOCONへの道 #3:東京/世田谷編」をお届けします! お楽しみに!